『犬神家の一族』(1976年 日本)
石坂浩二の名探偵・金田一耕助が誕生した記念的作品。
やっぱり怖い…。
今日の1日1映画は友人と話していて昔怖かった映画として挙がった『犬神家の一族』(1976年 日本)を鑑賞。
旧家の名士犬神佐兵衛の遺言状が公開されるが、莫大な遺産の相続者は佐兵衛の恩師の孫娘である野々宮珠世と結婚した者と記されていた。
佐兵衛の孫にあたる3人の男はそれぞれ珠世を我が物にしようと企むのだが、やがてそれは連続殺人事件へと発展していく……。
角川書店が映画製作に乗り出した“角川映画”の第1回作品です。
子供の頃にテレビでやっていて、テレビ画面が怖くて見られずに別の部屋に逃げていた記憶が。
ちゃんと見るのは初めてです。
うーん、今見ても怖い…。
その怖さっていうのが、色あせないっていうのもすごいですよね。
血の色はどう見ても絵具だったり、メイクもちょっと過剰だったりしますが、強烈なインパクトの白のシリコンゴムマスクや回想シーンでの白壁に飛び散る血しぶき、コントラスト付けまくりのモノクロ映像など、西洋のスプラッターにはない日本特有の「湿度」のある怖さっていうんでしょうか。
その殺人の動機となるドロドロとした「欲深さ」と「血族の哀しみ」が、キャストの演技とスタッフの演出が相乗効果となって画面からにじみ出てるんですよねぇ。
謎解きとしては、1回見ただけでもグルグル予想を裏切られて面白いんですが、たぶん何回か見たらもっといろんな発見があるんでしょう。
映画の技術的に見てみると結構斬新で、印象に残ったのは「ジャンプカット」「同じような動作のカットつなぎ」「ホイップズーム」「斜め構図」「スローモーション(ちょっとカクカク)」「クロスカッティング」。
あらゆる手法が使われていて、市川崑監督ってきっと見る人をびっくりさせようという遊び心あふれる方なんだろうなと感じます。
印象的な女優さんとしては、野々宮珠世役の島田陽子さんのメイクがまるでシリコンゴムマスクのスケキヨ風の白磁器のような白い肌で、人間を超越した人形のような美しさ。
これは役柄的にもわざとなのかなもと思ったり。
那須ホテルの女中・はる役の坂口良子さんが可愛らしい愛嬌のある役で、「一族」の外側の人物として人間らしく描かれていたのが印象的でした。
それから何と言っても大野雄二のムードのある音楽。
大野雄二というとルパン三世の音楽でおなじみです。
ドロドロの内容に哀愁のある軽めの音楽が合わさってるのがまた独特ですね。
ロケ地となった井出野屋旅館は今も旅館として営業中。
大正時代からの建物で馬刺し料理が有名とのことで、いつかロケ地巡りで行ってみたいです。
↓予告編