『グッドフェローズ』(1990年 アメリカ)
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スコセッシ&デ・ニーロで“パンク”に描く、
マフィアファミリーの実話ドラマ。
今朝の1日1映画は「グッドフェローズ」(1990年 アメリカ)を鑑賞。
ニューヨークの下町ブルックリンで生まれたヘンリー(レイ・リオッタ)。
幼い頃からマフィアに憧れて育つ。
地元を牛耳るポーリー(ポール・ソルヴィノ)の下で働き始めた彼は、兄貴分のジミー(ロバート・デ・ニーロ)や野心旺盛なトミー(ジョー・ペシ)らと犯罪を重ね、組織内での地位を高めていく…。
ヴェネツィア映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞したほか、数々の賞に輝いた名作です。
いやー、面白いですね。
いわゆるマフィア、反社の人たちのお話です。
悪い人たちではあるんですが、その人たちも恋愛をし、妻がいて、子供がいて、恒例のファミリーの集まりがあって、集まりでは料理をふるまい…っていう私たちと同じような日常があることを描いてある。
結構アットホームなんです。
その中に家族を養うためには悪事を働かなければいけなくて、強奪計画を立てたり、悪事の後始末のために、殺された人をどうするのかを考えたりするんですが…。
その時妻は何を考えてるのかっていうのも描いてあって面白い。
技術的な面白さはまず「ナレーション」。
表の顔と裏の顔の行ったり来たりが、主要人物によるナレーションでつづられており、誰もが知っている当時流行った音楽で彩られてあります。
ナレーションには、主人公たちが何を考えて行動しているかを鑑賞者に分からせ、スムーズに裏社会の世界へ導いてくれる役割が。
それから“パンク”な編集。
マフィア映画というと、カッコよさとか、虫けらが這い上がり、組の中で命を賭けてのし上がるとか、そういうのが固定概念としてあったりしますが、この映画はそれらを全て払拭してあるんですよね。
カットがポンポン切られるテンポの速い編集、急激なズームアップ、フレームの静止画、まるでミュージックビデオのように彼らの日常が切り取られていきます。
感情が入る隙がない。
だけどこれこそがリアル。
実際のカチコミなどは、よくあるマフィア映画のように、死ぬ前に「溜め」があったり、さあ、乗り込むぞとか、準備万端にコトが行われるわけではなく、笑っていたら次の瞬間に殺されていたという方が多いそう。
だから、逆に恐ろしい。
「映画の暴力を現実的に表現したかったのです。冷たく、感じが悪く、恐ろしい。偶発的であることを」とスコセッシ監督。
既成概念を無視した新たな表現がバッチリはまっています。
最後に「即興とアドリブ」。
シナリオ作りが面白くて、リハーサルで俳優にやりたいことをさせ、その中で監督が気に入った部分をシナリオに取り入れるやり方。
即興とアドリブから生まれた映画でもあります。
中盤に笑かしていた人がマジ切れするシーンがあるんですが、このシーンもアドリブからの起用。
役者も役作りを徹底していて、デニーロはモデルになった人物の歩き方、たばこの持ち方を、リオッタはFBIが録音したカセットテープを聞きしゃべり方までをマスターしたそう。
『ゴッドファーザー』のエッセンスや、『パルプフィクション』にはこの映画のオマージュのようなシーンがありますが、シニカルさが強烈で、ぶっ飛んでるのはきっとこの映画の方かも。
マフィアのやり口(先手必勝)、当時のアメリカンマフィアの構図(幹部になれる出身国)も勉強になりました。
いい意味で“最高に遊んでる”映画です。
↓予告編