『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年 アメリカ)
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同時多発テロの首謀者、ビンラディンの
捕縛・暗殺作戦の裏側で奮闘する女性を描く
今朝の1日1映画は「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年 アメリカ)を鑑賞。
2011年5月2日に実行された、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン捕縛・暗殺作戦。
その裏側を、「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が映画化。
テロリストの追跡を専門とするCIAの女性分析官マヤ(ジェシカ・チャステイン)。
パキスタン支局に派遣され、ビンラディンに繋がると思われるアブ・アフメドという男の存在をつかむが…。
マヤを中心に、作戦に携わった人々の苦悩や使命感、執念を描き出しています。
一人の優秀な女性CIAが正義と復讐のために難題に挑む姿を描いていて、好感の持てるものでありました。
主人公マヤは仕事は男性顔負けの思ったら突き進むタイプで、恋愛は大恋愛はしていないけどほんのりしていて、という感じ。
個人的には主人公の「衣装&ヘアメイク」に注目。
派遣されてきたばかりの頃は、フルメイクに縦ロールヘア、ピアスもネックレスもしていてふわっとしたスタイル。
それが中盤からノーメークに近くなり、後半は黒スーツにストレートヘア、無造作に1つ結びのヘアスタイルに変化します。
CIAなので、常に戦場の最前線の施設にいたり、砂漠地帯のような場所にいたりするので、華美なファッションをする場所はないんですが、その抑制された生活の中で心境の変化を表す手段として衣装とヘアメイクがキチンと設計してあり、参考になります。
映画としてもドキュメンタリーを見ているよう。
タイトルの「ゼロ・ダーク・サーティ」とは午前0時30分のこと。
実際の作戦の時刻と同じように、闇夜の中で行われた暗殺計画ということで、赤外線カメラで民家を1件ずつ探すっていうシーンがあります。
映画を盛り上げるような音楽はなく、手持ちカメラで揺れている。
闇夜を進む兵士たち、不意の襲撃に泣き叫ぶ家族…。
敵を倒してよかったよかったとはならない、サバイバルゲームのように見えるが最前線のリアルはおぞましいのだという絵がキチンと表現されている気がします。
ただ、この映画、なんと暗殺作戦が実行された翌年に公開しているんですよね。
なんかねー、裏を感じるのは私だけでしょうか。
映画って、そんなにすぐ撮れないし公開できないじゃないですか。
立案、予算、ロケハン、キャスティング、美術、衣装、スケジュール調整、撮影、編集、アフレコ、音楽、効果音、配給、宣伝、etc…。
映画制作って素人が考えてもこれくらいやることと手順があるし、しかも飛行機やヘリコプターがバンバン飛び、ロケ地も中東と大がかりです。
調べてみると、政治的な論争になっていますね…。
公開予定日は11月の大統領選挙の1ヶ月前の10月で、ビンラディン殺害指令を国民に思い出させ、オバマ再選を支援する「プロパガンダ」なんじゃないかという。
リアルな政治的計画と並行して映画制作の段取りも進めてないと、こんな短期間でできないですもんね…。
と、いろいろ思うところはありますが、ラストシーンは主人公女性のいろんな思いを想像できる描き方でよかったです。
↓予告編