『プレステージ』(2006年 アメリカ)
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「人間は騙されたいのである」
2人のマジック対決に、私も見事に騙されました。
今朝の1日1映画は「プレステージ」(2006年 アメリカ)を鑑賞。
クリストファー・プリーストの人気小説を、『メメント』のクリストファー・ノーラン監督が映画化した壮大な人間ドラマ。
舞台は19世紀末のロンドン。
若く野心に満ちたロバート(ヒュー・ジャックマン)とアルフレッド(クリスチャン・ベイル)は、マジシャン(マイケル・ケイン)の助手をしていた。
ある晩、舞台の事故でロバートの妻が亡くなったことが原因で二人は敵対するようになる。
その後、彼らは一流のマジシャンとして名声を得るが、その争いは次第に激しさを増す…。
見始めて、現在と過去が行ったり来たりするので、ちょっと時系列的に難しそうだぞ?と思って監督を確認すると、『メメント』の監督っていうことで納得。
でもしばらくすると、だんだん分かってきて。
最後はうわーーという、一周回ってそう来るかというようなオチが待っています。
主役の一人に感情移入して、その人の気持ちの変化に寄り添う映画ではなく、主役が2人いて、その人たちの「俺の方がすごいネタだろ!&騙しあい合戦」なので、映画的にちょっと情報量が多いです。
漫才で言うところの、コンビの両者がボケとツッコミを交代しながら進むネタの「笑い飯」ぐらい多い。
ただ登場人物がそこまで多くないので、整理ができる感じはあります。
この映画の技術的な部分は「伏線」。
ジャンル的にはミステリーで、ある意味映画の観客をだます映画なんですが、内容はマジシャンを描いていて、劇中の人々をだますという2重構造に。
そのマジックの世界に、映画を見ている観客をも導くような伏線がたくさんあります。
その伏線を回収しながら見進めていくと、マジックでハトやカナリヤなどの生き物を消すってどういうことかなど、鳥肌が立つような美しさやイメージがあって…監督の頭の中に脱帽。
マジックの流れとして、
①確認(プレッジ、pledge)
観客に種も仕掛けも無いことを証明する。
②展開(ターン、turn)
パフォーマンスを行う。
③偉業(プレステージ、Prestige)
マジックショーを完成させる最終段階。もとに戻るなど。
というのがあるそうなんですが、冒頭でもきちんとナレーションで解説し、そのように物語が展開していきます。
普段、日常では「いかに騙されないか」を考えながら生活しないとと気を付けていますが、それって結構しんどい。
逆にこの映画では、「人間は騙されたいのである」というセリフが出てきて、人間にはそういった一面もあるということを発見できます。
たしかに騙されている瞬間はが楽しいことが多いし、楽ですもんね。
意外だったのは、ニコラ・テスラという、当時はエジソンと二分するの発明家が出てきて、彼が発明した交流電動機を使って瞬間移動マジックを行うんですが、ニコラ・テスラ役をデヴィッド・ボウイが演じています。
マジックの世界を表も裏も堪能できる映画です。
↓予告編