「散歩する惑星」(2000年 スウェーデン・フランス合作)
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カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞
ブラック&シュールな人々
今朝の1日1映画は「散歩する惑星」(2000年 スウェーデン・フランス合作)を鑑賞。
惑星のとある場所。
サラリーマンは突然リストラされ泣きわめく。
道に迷った男は訳もなく殴られる。
マジシャンは人体切断のマジックに失敗して男を本当に切り刻んでしまう。
そんなある日、家具屋を経営するカールは、保険金欲しさに自分の会社に火をつけてしまう。
タクシー運転手をしていたカールの長男トーマスは、人々の悩みを聞かされるうちに自分が精神を病んでしまい、誰とも話せなくなってしまう。
様々な人が登場し、人生の岐路で迷い、思わぬ事故が起き、宗教じみた儀式が展開され…。
終末思想のような、なんだか不穏な空気がただよいます。
印象的なのは、強制遠近法を使っての奥行きのある構図。
果てしなく続く道や通路などが頻繁に出てくるんですが、これらは実際の奥行きではなく、遠くまで続く奥行きのある「絵」を近くに置いて合成してあり、目の錯覚(だまし絵)でそう見えているという手法です。
人間の目は鈍感で、全く分からないので、すごいスケール感のある映画に見えるんですよね。
CGでなんでもできる時代に、ロイ・アンダーソン監督のこだわりですべてアナログというのがすごいです。
1シーン1カットでカメラほぼ固定の長回し。
登場人物は顔を白く塗り、デットパン(無表情での反応)の演技をしています。
それぞれのシチュエーションがコントのようでもあり、全体的にシュールですが、クスっと笑える面白い感じもあって。
天国のような白い世界で、神の目から見た、人間たちが繰り広げる人生の悲喜こもごもが切り取られているような感覚。
ストーリーとしては分かりにくい映画ではありますが、要所要所に人生を考えさせられるようなセリフがあり、哀愁もあって、それぞれのシーンを面白がれる人なら楽しめると思います。
この作品は、ロイ・アンダーソン監督の「愛おしき隣人」「さよなら、人類」と3部作になっているとのこと。
他の2作も観てみたいです。
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