『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001年 アメリカ)
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家族の再生を試みる父親が奮闘!
カット、配色、音楽にセンスがあふれています。
今朝の1日1映画は「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001年 アメリカ)を鑑賞。
テネンバウム家の3人の子供たちは、長男はビジネスマンとして、長女は作家として、次男はテニス・プレイヤーとして10代のうちに成功し、天才児と呼ばれていた。
しかしそれから20年後、彼等はそれぞれ問題を抱えていた。
そんな時、死期が近いという父親の呼びかけで一緒に暮らすことになるが…。
『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』など独特の世界観を構築するウェス・アンダーソン監督による初期の長編作品です。
初めてこの監督の映画を見ましたが、独特ですねー。
映画としてはシニカルコメディで、ガハハと笑うというより、クスっと面白い、ブラックユーモアがちりばめてある。
アートな配色やカットつなぎも大胆で、鮮やかでリズミカル。
音楽もここでビートルズね、と、意味有げに流れます。
構図も真正面で対照的、鏡を見ている設定のカメラ目線などで、三脚据えてや、1シーンの登場人物をクレーンで次々に追って演じさせるなども面白いです。
お話は結構深刻なんですよ。
離婚、自殺、死、余命●日とか、普通に描くと壮絶なドラマになってしまう。
だけど、この映画が軽やかなのは、「ナレーション」と「ジャンプカット」で薄めてあること。
ナレーションを入れることによって、客観的な視点が生まれ、時間を省略してカットをつなぐジャンプカットにより、深刻なシーンもそこまで感情移入することなく現象としてみることができ、作品のトーンが「笑い」の方向にシフトできているんですよね。
軽いけど、「いい話」にも仕上がっていて、家族を再生させようとする父の思いを考えるとジーンときます。
2022年1月28日にウェス・アンダーソン監督の最新作、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』が公開。
ぜひ、監督の世界観をもっと楽しんでみたいと思います!
↓予告編