「リンカーン」(2012年 アメリカ)
By IMP Awards, Fair use, Link
徹底的な役作りが見もの。
大統領の歴史的ドラマ
今朝の1日1映画は「リンカーン」(2012年 アメリカ)を鑑賞。
スティーヴン・スピルバーグによる、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの伝記ドラマ。
奴隷制の廃止と禁止を強固なものにし、泥沼化した南北戦争を終結させるため、憲法の修正に挑むリンカーンの戦いを重厚なタッチで映し出しています。
先日、南北戦争終結後を舞台にしたタランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』を見たので、その時期の大統領の映画を鑑賞。
リンカーンが暗殺されるまでの4年間を描いてあります。
民衆の話ではなく、政治家の話で、登場人物がかなり多く、状況説明はあるんですが、ストーリーをしっかり把握するにはアメリカ政治史を勉強しないとちょっと無理かも…。
しかし一言で言えば、奴隷制廃止を盛り込んだ「アメリカ合衆国憲法修正第13条」を可決することを目的に戦略的に行動する話です。
時代が大きく変化する時、政治家がどう動き、大統領がどう決断し、その家族たちはどう大統領に寄り添ったのか。
リンカーンには4人息子がいたんですが、10歳くらいの4男のタッドを組み込むことによって硬い政治の話を分かりやすくし、他の息子を失ってスピリチュアルな感じになっている妻のメアリー・トッドの予言や思いを入れることによって何が起こっているのかが身近になるように描かれています。
演技としてはリンカーン役のダニエル・デイ=ルイス、妻役のサリー・フィールドの、本当のリンカーン&妻を見ているんじゃないかと思うくらいの自然な演技。
より自然でリアリステックな演技・表現をする「メソッド演技」という手法を用いています。
よく、「役になりきるために10キロ痩せた」とか「芝居が終わっても役が抜けない」とか聞くと思うんですが、まさにそれ。
普段から役作りを行います。
そのためには、担当する役柄について徹底的なリサーチを行い、撮影時に役柄に生じる感情や状況については、自身の経験や役柄がおかれた状況を擬似的に追体験する事によって、演技プランを練っていく。
実際、ダニエル・デイ=ルイスは当時のリンカーンにまつわる文章を読み漁り、サリー・フィールドは10キロ太るためにフォアグラのように食べ、二人で文通も行っていたと語っており、俳優って大変な努力をしているんだということを思い知らされます。
衣装は当時の本人が着ていた服やアクセサリーをそのまま再現されていて、感動。
ライティングは、当時は日光とローソクの灯りでの生活なので、光源(窓、ランプ)を意識した美術セットと、顔がうまく映るように自然な光が当てられていて、なるほどと思い知らされます。
オペラの舞台のシーンがあるんですが、当時の照明は、何本ものローソクによって演者を照らしていたんですね。
ストーリーの決定的瞬間をそのままの画やセリフで見せずに象徴的に表現しているのもよかったです。
リンカーンについてもっと勉強せねばです。
PS:メソッド演技といえば、「孤狼の血LEVEL Ⅱ」での鈴木亮平さんも、撮影前ですでに役作りのため広島の友達に聞いて広島弁を完全マスターし、撮影の時期にはカメラが回ってない時でもすべて広島弁で話していたという徹底ぶりだったそうです。(さいねい龍二さん談)
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