『オーケストラの少女』(1937年 アメリカ)
音楽は人の心を動かす。
音の魔術師ストコフスキー指揮&少女の演技に涙。
今朝の1日1映画は『オーケストラの少女』(1937年 アメリカ)を鑑賞。
トロンボーン奏者ジョンは、才能があるのに失業中。
そんな父を心配したパトリシア(デイアナ・ダービン)は失業者によるオーケストラを結成。
当代最高の指揮者ストコフスキー(レオポルド・ストコフスキー:本人役)にタクトを振るってもらおうと思いつくが、彼は気難しいことで有名な男。
それでもパトリシアは楽団のために、直談判に挑む...。
当時人気絶頂だった少女スター、ディアナ・ダービンとクラシック世界の大物指揮者ストコフスキー&フィラデルフィア交響楽団を共演させて空前の大ヒットを記録したヘンリー・コスター監督による名作です。
参考にしている本4冊目がほぼ終わり、最近日本映画を見ていくうち、日本映画史に興味がわき、当時の日本映画のスタッフなどが影響を受けた映画を見ていこうと思います。
いやー、面白いですねー。
フィナーレでは面白さと感動が入り混じって泣いてしまいました。
まず少女パッツィー役の当時16歳のディアナ・ダービンの演技と歌声。
失業したお父さんを何とかしたいという純粋な気持ちを全身で表現していて、そこに澄んだな歌声が加わると、もう無条件で彼女を応援したくなる。
またシナリオがありきたりでない所も良くって。
バッグを拾うとか、電話を取るとかの偶然の出来事が次第に大きくなっていくんですが、未来の予測を「じらし」として入れ込んであり、そのことによって観客は結果を早く見たいという気持ちが生まれ、今か今かと見進めてしまうという。
アッと言う子供だましみたいな仕掛けもあって、考えなくても面白い。
結構ドタバタのコメディーで、ラストに向かって登場人物たちの各エピソードが緊張を持って回転していき、フィナーレでそれらの緊張の糸が解け、音楽とともにカタルシスとなる。
もうこれ以上の最高のジェットコースターはないですよねぇ。
作曲家の芥川也寸志、指揮者岩城宏之、音楽評論家の志鳥栄八郎、俳優の大滝秀治、女優・司会者・作家の黒柳徹子、映画監督の山田洋次、などなど、日本の音楽界や映画界などをけん引する人々にこの映画の影響を受けた人が多く、人生を変えてしまうほど当時の日本でもこの映画が大ブームだったんだろうと推測します。
1930年代はまさにハリウッド映画の黄金期。
量産される数々の映画の中で本作が大ヒットし、時を超えても人々の心を打つのは、テーマが普遍的であるのと同時に、音楽自体が普遍的な力を持っているということで、それらを再認識させられます。
本当に素敵な作品ですね。
↓予告編
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