「バリー・リンドン」(1975年 イギリス・アメリカ)
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キューブリック監督のこだわりが詰まった
一青年の生き様
今朝の1日1映画は「バリー・リンドン」(1975年 イギリス・アメリカ)を鑑賞。
18世紀ヨーロッパ。
英国貴族に成り上がっていくアイルランド青年の栄華と没落の半生を描いたヒューマン・ドラマ。
監督は『2001年宇宙の旅』『シャイニング』のスタンリー・キューブリック。
貴族社会の風俗や世界観を鮮やかに再現し、アカデミー賞の撮影賞、歌曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞を受賞しています。
貴族に憧れ、貴族になるためにあらゆる手段で貴族に近づき…。
さえない主人公が成長していく物語はよくありますが、それとは逆の姿が描かれた切ないお話。
最近ニュースで連日報道されている、似たようなことが日本でも展開しているかもなお話ですが、時代が時代なので、同情してしまう面が多々あります。
何かあれば、いつも生死の選択を迫られる。
人生の縮図とはこのことかと。
映画製作面でのすごいところは、まず、徹底した18世紀ヨーロッパの再現力。
衣装やヘアメイク(貴族の顔にはつけぼくろが。当時大流行していたんですね)はもちろんですが、照明を当てず、自然光で撮っています。
そうすると、18世紀当時の照明はローソクですし、昼間でも1975年当時のカメラでは室内は暗くて映らない。
キューブリックは宇宙飛行士が宇宙を撮影するために開発された、映画撮影の歴史で最も明るいとされるカール・ツァイス製「プラナー50mmF0.7」を調達し、めちゃくちゃ難しいピント調整をしながら撮影していて、こだわりぬいた素晴らしい絵作りがされています。
それからナレーションによる小説風の進行。
主人公の回想としてのナレーションは良くありますが、この映画では第3者が映画を俯瞰で見て進行していく形式。
まるで神の声ともいうべきそのナレーションは、運命は決まっているのだと暗示させるかのようで、もの悲しい旋律のヘンデルのハープシコード組曲「サラバンド」(「マツコ&有吉の怒り新党」使用曲)とともに進行し、映画の雰囲気を特徴づけています。
ほかにはカメラワークとしてズームアウトを多様。
そのことによって見ている側は状況を整理し、ストーリー性を把握できることができます。
鳩やロバ、馬、犬、羊、など、動物の動きも効果的に使用。
18世紀にタイムスリップしているといっても過言ではない世界観を体験できる映画です。
↓予告編
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