『ゲームの規則』(1939年 フランス)
貴族って…。
名匠ジャン・ルノワール監督による社会風刺劇。
今朝の1日1映画は『ゲームの規則』(1939年 フランス)を鑑賞。
主人公クリスチーヌは貴族ロベールの妻。
大西洋を23時間で横断した飛行家アンドレはその愛人だった。
一方で、ロベールにも別れようとしていた愛人があった。
彼らの催すパーティに大勢の名士たちが集まる。
もちろん、アンドレもその一人。
だが、やはり同じ階級のド・サン・トーバンと夫人が親しくしているのを見て、彼は猛烈な嫉妬に駆られる……。
貴族&中上流社会の人々の騒動を描いた社会風刺劇です。
主要登場人物は分かるんですが、人間関係が入り組んでいて把握するのが少し難しい…。
というのも、浮気だ、愛人だ、好きだ、別れるだのという恋愛関係がクロスしていて1年かけて描く連続ドラマくらいの恋愛模様を1時間50分にギュギュっと縮めたのかというほどの入り乱れよう。
また狩猟を楽しむんですが、ウサギやキジをバンバン撃って数を競うんだけど、大量に獲れても全部ジビエとして食べるわけではなくて、あくまでゲームという。
でもこのある意味狂気じみた生活を「これが貴族だ」って見せてあって。
庶民のモラルでは考えられない貴族の遊び方をとことん描いてある、風刺の聞いた内容になっています。
撮影されたのは1930年代後半。
これから大戦が始まり、時代や人々の価値観が大きく変化しようという時でもあります。
ある意味「最後の貴族」を描いてあるのかも。
マフィアのモラルとも似たような、特殊なその世界だけ通じるルールがあるんだということが分かります。
到底共感はできないんですけどね…。
中盤からはかなり展開があり、うわーっていうエンディング。
ジャン・ルノワール監督自身が役者として出演していて、庶民的な感覚を持った人間として、狂言回し的に映画を分かりやすくしてくれています。
この映画の技法で印象的なのは「ディープ・フォーカス」。
フレーム内に映る人や物が手前から奥まですべてにピントが合っています。
シャネルが担当した衣装の細部から、人々の所作まで隅々まで見せることによって、浮き上がってくるものがある。
監督の父が印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールっていう影響もあるんでしょうか、絵画のような画作りも素晴らしいですね。
↓予告編