「ミスティック・リバー」(2003年 アメリカ)
「不思議だな、人生は何気ない選択で変わる。」(映画より)
今朝の1日1映画は「ミスティック・リバー」(2003年 アメリカ)を鑑賞。
ボストンで幼なじみの3人の少年のうち、ひとりが連れ去られ、監禁し陵辱される。
3人は疎遠になっていたが、25年後、彼らは殺人事件を契機に再会する。
ひとりは被害者の父、ひとりは容疑者、ひとりは刑事として…。
サスペンス・タッチの人間ドラマですが、のめり込んで見てしまいました。
しかし、いい映画だったわ~ではなく、見たくない社会の縮図を見せつけられたような気持ちになります。
監督作に外れなしといわれるクリント・イーストウッド監督による作品。
感情をあおる音楽や無駄なカットを省き、シナリオに沿った最小限のカットの中に高密度な演出を入れる作り方で知られています。
ミステリーで登場人物もまあまあいるのですが、たまに陥る「この人は誰?」「この人とこの人はどういう関係?」っていうわけが分からなくなる状態がそこまでなく分かりやすい。
映画としてここは良かったなと思う点は、
(1)キャラクター設定を追求
衣装(タトゥーも)、車種、車の中の状態(ゴミとか)酒、細かい部分でその登場人物の性格とか暮らしぶり、感情表現、行動パターンをきちんと設計してあり、俳優もその役割をいかんなく発揮しているので、見ていてその行動に「納得感」があります。
(2)本心は「言葉」より「行動」に表れる
人間って、言葉では嘘をついても、行動に現れてしまう生き物。セリフにはならない心の中の思いを、行動や感情表現として演出してあるところが、ぐっと心を捕まれるんですよね。
(3)ことの成り行きを客観的に見る存在の登場人物
ミステリーって、人間の心の闇へと連れていき、スクリーン上の刑事は観客の代わりにその謎を解くためのカギを集めてくれる役割があるんですが、刑事の同僚ホワイティ(俳優ローレンス・フィッシュバーン)がその役割を担っていて、感情うずまく3人の行方を整理してくれています。(先日見た「大統領の陰謀」の新聞社主幹みたいな役割)。
後半になっていくにつれて、物語が回転していき、「信じる者」と「信じられなくなる者」との葛藤が強まり…。
夫がどんなに悪いことをしても(自分に言い聞かすように)夫を支える妻のシーンでは、ちょっと「極妻」の気分が分かる感じもあります。
コンクリートに3人の名前を刻むシーンは、「レナードの朝」の冒頭でベンチに刻んだ名前のシーンと似ているなとか、光と影の演出がが素晴らしいなとか、ほかにもいろいろありますが、このあたりで。
第76回アカデミー賞にて主演男優賞をショーン・ペン、助演男優賞をティム・ロビンスが受賞。
昨日見た「トレマーズ」に出てた田舎の兄ちゃんケビン・ベーコンがこの映画ではスタイリッシュな刑事になっています。
川が流れるように、人生も流れている。いろんなものを沈めながら。
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