カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『シン・ウルトラマン』(2022年 日本)

iPhoneで撮影されたカットも。
感情を排した会話が織りなす“左脳系”密室劇

今日の1日1映画は、映画館でU-NEXTのポイントを使って『シン・ウルトラマン』(2022年 日本)を鑑賞。

謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が次々に現れ、その存在が日常となった日本。

通常兵器が全く通用せず事態が長期化する中、政府は禍威獣対策の専従組織・通称「禍特対(カトクタイ)」を設立する。

田村君男(西島秀俊)を班長に、さまざまな分野のスペシャリストから成るメンバーが任務に当たる中、銀色の巨人が突如出現。

巨人対策のため、禍特対には分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)と組むが…。

1966年の放送開始以来親しまれている特撮ヒーロー「ウルトラマン」を、『シン・ゴジラ』などの庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務め新たに映画化した作品です。

ウルトラマンについては詳しくなく、そんなに前知識なく鑑賞。

(ストーリー的なネタバレは書きませんが、それ以外のネタバレになっているかもしれないので、これから見る予定がある方はこの先注意してください)

なるほどー、これは大人の、しかも4~50代の男性が見ることをターゲットに絞った感がある「会話劇」となってますねー。

なんかね、『スタートレック』みたいなんですよ、雰囲気が。

スタートレック』もそこまで詳しくないんで雰囲気だけで言いますが、主人公は感情を排したしゃべりで、周りの主要人物も1人の女性以外はみんな小難しい物理学的な学術用語や専門用語を並べてしゃべっている。

シーンも戦闘シーン以外は室内が多く、会議室や災害用テントみたいな中でしゃべっている。

ほぼ密室劇なんです。

その密室を、ローアングルを多用してあらゆる角度から撮影。

手前に何かが入る○○越しのショット、シンメトリーに繰り返すカット割り、多くのカットを素早くつなぐ…etc。

密室の会話劇という、ある意味舞台のような空間を、映像的にいかに変化を付けて観客を飽きさせないかの工夫がしてあります。

それがまた奇をてらったようなアングルで。

椅子の下とか、股下からのショットなんて何回出てきたことか!

画面の隅っこに小さく映る人物、というショットもたくさん。

調べてみると、俳優や監督がiPhoneをたくさん置いて撮影したシーンがたくさんあるんですね。

どおりで!

画面の色味や広角のショットがiPhoneっぽいなーと思うシーンもありました。

映画の中で登場人物が使っているスマホのシーンもiPhoneでしたけどね。

それから、禍威獣(カイジュウ)が暴れるシーンで逃げ惑うエキストラのシーンは2シーンぐらいしかない。

しかもロングショットでモブ的で、アップになって個別に怖がっている人はいない。

建物などはガンガン壊されるんですけどね。

子供やお年寄りなどの社会的に弱い人々が移りこむと禍威獣の脅威が増すんですが、そこに暮らす市民の存在や感情を排した演出なので、それはいらないという判断なんでしょう。

なので“誰のために戦っているのか”というのがちょっと弱い感じはあるかも。

後半は哲学的な雰囲気もあって、エヴァンゲリオンのようでもあります。

終わり方は続編がありそうな感じ。

まあまあ面白かったかな。

テロップや変身シーン、音楽など、テレビシリーズ当時を踏襲した場面もあって、懐かしさも加味されていて。

ただ隣に親子連れが座っていたんですが、お父さんは面白かったと言っていましたが、子供は難解だったんだろうなーと思います。

戦闘シーンは見ごたえありますけどね。

長澤まさみが“面白いこと”になりますので、それは一見の価値ありです。

 


予告編