カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『ブロードウェイと銃弾』(1994年 アメリカ)

By The poster art can or could be obtained from Miramax Films., Fair use, Link

ウディ・アレン監督が舞台人とギャングを描いた
人間賛歌コメディー!

今朝の1日1映画は『ブロードウェイと銃弾』(1994年 アメリカ)を鑑賞。

新進劇作家のデビッドの芝居がブロードウェイで上演されることが決まる。

しかし、それにはスポンサーであるギャングの愛人オリーブを出演させるという条件つき。

落ち目の大女優ヘレンを主役に迎えリハーサルに入るが、ヘレンのワガママに振り回され、オリーブの大根演技に頭を悩ませ、挙句にオリーブのボディーガードのチーチが脚本に口が出してくる始末。

次から次に問題が降りかかる中何とか初日を迎えるが、やがて殺人事件まで起こり・・・。

ウディ・アレンが、20年代のブロードウェイの舞台裏をユーモラスに描いたコメディーです。

演劇の舞台裏とその人間模様を描いた「グランドホテル方式」よ呼ばれる群集劇なんですが、演劇が演じられる表舞台とリアルな感情が渦巻く裏舞台の差の面白さと、さらに舞台人がギャングという裏社会とつながっているという、現実世界の表舞台と裏舞台が描かれて、この二重構造が面白さを倍にしていますね。

みんなキャラが濃くて、面白い人ばかりが出てくるんですが、彼らの行動や言動からその人物の内面や思考が見えてくる。

用心棒チーチに人間最大の魅力である“ギャップ”が描かれ、こだわりを捨てきれないアーティスト魂の行きつくところにある悲劇が起こり…。

うんちくや演劇論をカフェで繰り広げる劇作家より、銃をぶっ放して実体験を積んでいる人の方がよっぽど説得力があるという皮肉も描かれています。

特にギャングが人を殺す理由を答える部分は、「あ、そういう事よね…。その思考によって人を殺すということは、次は誰が殺されますかね…?」という推理が。

ハチャメチャな人たちをストーリー上で躍らせて、俯瞰で見ながら人間の哀愁をあぶりだす、ウディ・アレンならではの演出にまた脱帽です。

構成としては3分の2くらいまでは絶好調で、ラスト3分の1で瞬く間にドドーっとあらゆる展開が起きるというジェットコースター設計。

1920年代の禁酒時代における人々の感情のはけ口や衣装へのこだわり、カメラのパンによる会話の盛り上がりのショット、犬という本能で動く動物が人間の嘘を見破る存在として入れられているシーン、カットつなぎで前後のカットが同じ動作をしている別の人物などが印象的です。

スポンサーであるギャングのボスの女ということで無理やり配役させられることになったオリーブ(ジェニファー・ティリー)は芝居が下手なんですが、芝居が下手な人の役を演じる女優って芝居がうまい人じゃないとできないですね。

人間賛歌なこの作品、アメリカや日本でも舞台化され、ミュージカルとしても人気なんですね(日本では城田優・髙木雄也主演)。

舞台でもいつか見てみたいです。

↓予告編

 
 

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