『ポンヌフの恋人』(1991年 フランス)
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当時23歳の監督が描く、激しい愛。
今朝の1日1映画は『ポンヌフの恋人』(1991年 フランス)を鑑賞。
パリの橋・ポンヌフの上で暮らす天涯孤独な大道芸人アレックス。
ある日、失明の危機と失恋による心の傷に絶望する女子画学生ミシェルと出会う。
2人は恋に落ちるが、ミシェルには両親から捜索願いが出されていた…。
フランスの鬼才レオス・カラックス監督による『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』に続く青春3部作最終章となる、孤独な青年と深い絶望の闇に生きる女性の運命の出会いを描く作品です。
公開当時に見て、今回超久ぶりに見たのでほとんど忘れていたんですが、衝撃的な作品ですね!
主人公2人は多くをらないので、何があってポンヌフにたどり着き、なぜこのようなホームレスな生活をしているのかは彼らの言葉を紡いで想像する感じなんですが、それを超えた2人の演技の説得力や疾走感がフィルムからほとばしっていて、ぐいぐい引き込まれる。
セリフのほとんどが愛や人生を語る詩のようで。
橋で暮らすおじさんの言葉「生きろ!」っていうのもめちゃくちゃ心に響きます。
フランス映画だけど、構成的にはエンターテインメントで、ラストもいい作品を見たなと思えるエンディングです(タイタニックに似たシーンも)。
ほんとの橋でロケをしているのかと思ったら、撮影が延びて許可が下りず、パリ郊外に作ったセットで撮影しているって聞いてびっくり!
2人の底辺を生きる小さな世界とは真逆の、オリンピックの開会式かというぐらいのパリ200年祭を祝うド派手なシーンがたくさん盛り込んであり、その対比が映画として非常に効いているんですが、ものすごいお金をかけてある。
当時若干23歳のレオス・カラックス監督がここまで壮大な規模の映画が撮れるっていうのは、フランスの映画文化に対する理解の深さを感じます。
また、音楽、カメラワーク、カット割り、すべてにセンスを感じる。
微妙な表情ををとらえたショットはもちろん、音楽を挿入曲のように見せて、それは路上でチェロを弾いている人の音だったり、風景や天気も演出としてロングショットで彼らの生きる世界を物語ったり、彼らには世界がどう見えているかもキチンと入れ込んであって。
そういう小さなこだわりの積み重ねが、人の心を動かすんですね。
レオス・カラックス監督作品の『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』は、日本ではすでに権利切れになっていて、DVD販売や配信もされていない状態なんですが、いつか見てみたい。
レオス・カラックス監督の最新作のミュージカル映画『アネット』(4/1公開)も楽しみです!
PS:この映画が撮影されていた頃、パリに行っていたのですが、映画に出てきたドアや囲いのない観覧車(超スリル満点!)に乗ったりやクラブに行ったりしたことを思い出して懐かしかったです。
ポン・ヌフを再現した映画の巨大なオープンセットは今でも壊されることなく現存しているようなので、いつかロケ地巡りをしてみたいなぁ。
(映画好きの友人の勧めでDVDで見ました)
↓予告編