カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『地球の静止する日』(1951年 アメリカ)

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ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』の監督がこんなSF映画を撮っていたとは!

今朝の1日1映画は『地球の静止する日』(1951年 アメリカ)を鑑賞。

戦争など地球で勃発する数々の闘争が宇宙の星々の平和を脅かすとして、遊星の使者クラートゥ(マイケル・レニー)が地球に現れた。

すべての争いをやめるべく地球人に勧告。

しかし、それがなかなか聞き入れられないとなるや、彼は全世界の動力を停止するという手段に打って出た……。

人類と異星人とのコンタクトを描く本格SF映画の先駆的作品です。

見るきっかけは、検索してたら往年の戦隊もの宇宙刑事ギャバン』のようなインパクトのあるサムネール画像が出てきて、気になって…。

見てみるとこれが結構面白く、考えさせられる。

世界の武力紛争というマクロな問題を、1家族の宇宙人との出会いというミクロの出来事に落とし込んで、鑑賞者が共感できる形で問題提起するというのが非常に秀逸です。

地球人のいざこざを、進化して治安のために戦うこともなくなった宇宙人が親和的に解決しに来るという内容は、宇宙モノでは『E.T.』とか『未知との遭遇』とかに似た感じもあるんですが、シリーズものだと『スターウォーズ』ではなく『スタートレック』の世界に似ている。

調べてみると、この映画の監督ロバート・ワイズは『ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』の監督ということにもびっくりしたんですが、映画版『スタートレック1』の監督もしているんですね。

実はSFに造詣が深く、ヒット作を生み出した後、晩年はSFに力を注いでいたと聞き納得です。

宇宙船は結構精巧な作りでインパクトがあるんですが(建築家フランク・ロイド・ライトが設計に協力!)、宇宙人やロボットは『オズの魔法使』(1939)のブリキのロボットからそんなに進化してなく、ビニールスーツの中に人が入っていますよ、っていうのは丸わかり…。

影技法は、ロボットの目からビームが出て、UFOが飛んでいるところなどは合成を使っているんですが、カット割りやアングル、編集はそんなに目新しくはなくてわりとオーソドックス。

ですが、ストーリー展開のテンポの良さや根底にあるメッセージが非常に強くて分かりやすいので、技術的な部分はまったく気にならなくなってくるんですよね。

よく政治家や会社のトップが占い師にハマり…っていう話を聞きますが、人間って、誰かに助言がほしいっていうのがあると思うんです。

その方が心理的に楽になれるというのがある。

この宇宙人はキリストを暗喩しているという説もあるようですが、政治家や科学者が世界平和のために考えて考えて行き詰った時、すべてを解決してくれる助言者や預言者に出会いアドバイスを受けたいという無意識の願望のようなものがこの映画に描かれているような気もして、夢のような映画であると同時に、深いなあと感じるんですよね。

終末論とか陰謀論とかもそうやって生まれるのかもしれませんが。

この世界治安の縮図のようなSF映画をきっかけに、世界平和や貧富の格差などいろんな方向に考えがめぐっていくという、重い扉を開いたような気がしています。

↓予告編

 
 

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