「インサイダー」(1999年 アメリカ)
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ジャーナリズムとは?
実話を元にした2人の演技力が光る映画
今朝の1日1映画は「インサイダー」(1999年 アメリカ)を鑑賞。
人気報道番組のプロデューサー、バーグマンのもとに匿名の書類が届けられる。
それは、あるタバコメーカーの極秘ファイルだった。
彼はその書類の意味を探るうち、ワイガンドという人物に行き当たるが…。
実話を基に、ある大企業の隠蔽工作を告発する人間たちの葛藤を描く。
報道局員役のアル・パチーノ、告発者となるラッセル・クロウの演技が光る社会派ドラマ。
これは面白い。
「インサイダー」と聞いて、インサイダー取引の株式操作の映画かと思って観てみたんですが、内部告発の報道もの。
派手な事故やアクションがあるわけでもなく、ただひたすらセリフと演技で展開するんですが、巧な心理描写に自然と引き込まれます。
まず、演技がすごい。
記者役アル・パチーノの真実を追求する姿、元大企業のラッセル・クロウの告発したいけど家族を守るために思い悩む姿、真に迫った演技でどちらも見ていてドキドキします。
カメラワークも、心理的に揺れ動く葛藤の場面は、手持ちカメラでゆらゆらで、アップショットを多様。
照明は、家族団らんの場面では窓辺から差し込む光と影、深夜に一人で置き手紙を読むシーンでは間接照明など、その時々のキャストの心理を表現した照明になっていて効果的。
人物が登場するシーンは、出てきてすぐ説明っぽいセリフをしゃべるのではなく、「この人は誰だ?」と匂わせといて、しばらくして誰なのかが分かるようになっていて、見る者をおっと思わせる工夫も。
衣装は、記者って取材でまともに寝ていなかったり仕事に打ち込んだりするので、だらしないスーツ姿、一方、大企業の開発部兼副社長は解雇されてもびしっと決めたスーツ姿など、その人の生活や性格までの説明ができている。
ところどころに掛けてあるブルーのフィルターも心理描写として効果的。
こういった社会派のドラマって、見ていて混乱することがあったりしますが、この映画はそういった細かい演出により非常に分かりやすく、登場人物の相関も理解できます。
それにしても不都合な真実をこうやって映画化できるだけアメリカは自由が保障されているんだなあとつくづく思います(アカデミー賞はノミネートまででしたが)。
日本では難しいかもしれないですね…。
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