「普通の人々」(1980年 アメリカ)
1つの家族が教えてくれる
人生の処方箋
今朝の1日1映画は「普通の人々」(1980年 アメリカ)を鑑賞。
ごく普通の中流家庭であるジャレット一家。
お互いに尊重し合い、家族4人で幸せな毎日を送っていた彼らに、長男の事故死と次男の自殺未遂という悲劇が降りかかる。
そしてこの出来事をきっかけに、信頼しあっていたはずの家族の歯車が少しずつ狂いはじめるのだった……。
名優ロバート・レッドフォードの監督デビュー作にして、1980年度アカデミー賞4部門(作品・監督・助演男優・脚色賞)に輝いた傑作ヒューマン・ドラマ。
なかなか重くて深い内容なんですが、登場人物それぞれの繊細に揺れ動く感情を丁寧に描いていて、結構見ごたえがあります。
辛い出来事を一人で抱え、すべて自分のせいだと自責の念にかられリストカットをしてしまう息子。
他人のせいにせず「自分原因論」で思考することは問題解決方法としてスムーズにいくこともありますが、こういうケースには難しい。
そして、問題が起こったときにそれに触れないように、関わる者を拒絶・放棄し、考えないようにすることで前へ進もうとする母。
周りから見るとかなり冷たく見えるんですが、彼女にはこれが精一杯で限界なんですよね。
父はその間に立って右往左往するんですが、なかなか解決方法が見当たらない。
そんな中で、精神科医がこの家族の問題点を整理して、人生の道筋を見出してくれる存在として描かれていて、いいセリフもたくさんあります。
人間の心模様を描くドラマは、小説なら心の声として文字にできますが、行動で描く映画の場合は難しい面が。
ですが、回想シーンや役者の表情、詳細なエピソードと会話の中のセリフで心の機微を見事に表現していて、分かりやすいです。
映画の構成はしっかり破壊と再生を表現。
こういった辛い出来事が起きた場合、私たちはどう向き合い、どう対処していけばいいのか。
その答えが詰まった、見た後にスッと心が軽くなる、人生の処方箋のような映画です。
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