『アダム氏とマダム』(1949年 アメリカ)
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男女同権を主張する夫婦弁護士の対立を描く
会話のやりとりが楽しいコメディー
今朝の1日1映画は『アダム氏とマダム』(1949年 アメリカ)を鑑賞。
ある日、夫の浮気が原因で女が発砲騒ぎを起こした。
検事補のアダム・ボナー(スペンサー・トレイシー)と弁護士のアマンダ・ボナー(キャサリン・ヘプバーン)の弁護士夫婦が、夫側と妻側それぞれの弁護を担当することに。
それぞれの立場を主張しながら裁判を進めるが…。
夫は男の都合を、妻は女の権利を主張してやりあうという、ソフィストケーテッド・コメディの秀作です。
原題は女性の意味である「アダムの肋骨(Adam's Rib)」。
1960年代から1970年代にかけて起きた、女性たちによる女性解放のための運動「ウーマンリブ」は、こういう意味から来てる言葉なんですね。
この時代に、共働き、弁護士の妻、法廷に働く女性が次々出てきて主張する。
男女同権を主張していて、アメリカってこの頃からこんなに進んでいたのか、それともその後の女性解放の時代を予兆していたのか分からないんですが、かなり先進的です。
法廷で争う夫婦が家に帰ったらどう過ごしているかという部分も見もので、家では対面して喧嘩するのではなく美味しいものが食べたいよねーって2人で一緒に料理をしながら言い争うシーンなど、生活感もあって非常にリアルな夫婦像が垣間見えます。
流れとしては夫婦を軸としたお話で、スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンが男女の気の利いた都会的な会話のやり取りを展開し、息の合った演技を披露。
かつ、アッと驚くユーモアあふれるシーンが随所に挟み込まれている。
これはシナリオの技が冴えているんだと思うんですが、私たちが日常で学習した経験(見慣れた出来事)が起こったあと、未体験の経験(思わぬ出来事)が起こるという流れを随所に取り込んでおり、楽しいんですよね。
また、「どうなるんだろ?(不安&緊張)→そうなるのか(安堵)」の作用のあるシーンも随所にあって、伏線と絡ませながら展開させてあります。
テンポのよく進む中に、男女の差や夫婦のちょっとしたすれ違いや思い違いをどう受け止めたらいいのかというヒントも描いてあって、見終わった後にちょっと学びがあるのもいいですね。
↓予告編