『ジュリアス・シーザー』(1953年 アメリカ)
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能や広島風ファンタジーにも共通点が。
「ブルータス、お前もか」で有名なシェイクスピアの戯曲の映画化
今朝の1日1映画は『ジュリアス・シーザー』(1953年 アメリカ)を鑑賞。
紀元前44年、シーザーが凱旋。
彼に忠誠を誓うのは、陸軍体調のアントニーだった。
政権をめぐる抗争が激化。
シーザー打倒を目指すキャシアスは、民衆に人気のブルータスを利用しようと画策。
ブルータスはシーザーを暗殺する決意をするが…。
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』の映画化で、監督はジョーゼフ『イヴの総て』の・L・マンキーウィッツ。
マーロン・ブランド、ジェームズ・メイスンら、 当時の豪華キャストで制作され、1953年のアカデミー賞の美術(白黒)賞を受賞しています。
シェイクスピアの戯曲は舞台で見たことあるのかないのか忘れていますが、映画では初鑑賞かも。
セリフは映画というより、舞台そのもの。
独り言で心の内を叫んだり、ト書きのような状況説明もセリフ化してあってりと映画としてはちょっと不自然な感じ。
調べてみると、この映画は戯曲を忠実に演じているということで納得です。
なので室内シーンのカメラワークも何となく舞台中継っぽかったりもします。
話としては、会話が中心で、人間の普遍的な心理を描いてある。
プロデューサーのジョン・ハウスマンによると、「スペクタクルではなく、小さな作品として制作することにしました。政治的権力劇のドラマを描きたかったのです」とのこと。
権力を持つ人と、その座を狙う人、権力ではなく心から民衆の幸福を願う人などの心理が非常に分かりやすい。
こういう権力劇を見ると、2000年以上経った今でも人間の本質は基本的に同じで、なぜ戦争が繰り返されるのかも理解できる気がします。
また人生哲学のようなセリフの数々によって紡がれていて、非常に説得力がありますね。
そして、構成が映画の基本ですよねという流れ。
『スター・ウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ゴッドファーザー』などと似ていて、これらのヒット作はこの映画の構成を転用しているというのが分かります。
で、気づいたのは、「能」もなんか似てますよね? っていうこと。
昨年、能と一連の“広島風ファンタジー”映画が似ているのは能『松風』を見た時に思ったんですが、やはりこういう西洋の古典的な作品にも亡霊とか悪霊とかが出てくるんです。
その霊の出現によって登場人物に変化が起きるというところがそっくりで。
霊の存在は東洋も西洋も人間を脅かす存在ということなんでしょうね。
人間心理の普遍性と、面白いシナリオの構成の基本が学べる非常にいい作品。
「ブルータス、お前もか」のセリフがどういう状況で発せられた言葉なのかが分かり、納得です。
↓予告編