「タイタニック」(1997年 アメリカ)
女性の解放と高低差に見る社会の縮図
今朝の1日1映画は「タイタニック」(1997年 アメリカ)を鑑賞。
北大西洋上で氷山に衝突し、20世紀最大の海難事故となった豪華客船タイタニック号の悲劇を、ラヴ・ストーリーの要素を交じえて描いたスペクタクル超大作。
ほぼ原寸大に再現されたタイタニック号をはじめ、総製作費2億ドルという巨費を投じた壮大なスケールの世界観を味わえます。
公開当初、広島宝塚会館の大きな劇場に観に行ったんですが、ほぼ満席で1番前の角っこの席しか空いてなく、それでもいいからとスクリーンを見上げながら見た記憶があります。
船首でローズが両腕を広げて『私飛んでるわ』と叫ぶシーン。
あの頃あのポーズがすごく流行り、友人の中にクルーズ船で船上結婚式を挙げて、あのポーズを恥ずかしがりながらやったカップルが何組いたことか!
映画自体はもう涙なくして観られないの悲劇のラブストーリーです。
今回映画の構成の部分に注目しながら改めて見てみると、3時間をフルに使って感情のジェットコースターを作り上げていることに気づかされます。
101歳となるタイタニックの生存者ローズが、当時を振り返りながら進行し、そのナレーションは観客をストーリーの世界へスーッと導いていく案内役に。
その後は、前半と後半に分けて見ることができます。
前半は上流階級の令嬢ローズと絵描き志望の貧しい青年ジャックの船内ラブストーリー。
ローズの、強制された好きでもない人やお金のための婚約、上流階級の奴隷のような息苦しさからジャックが解放していくという、ある意味女性の解放がテーマとなっています。
後半は一転、パニックアクションの様相。
船が氷山に当たり、徐々に沈没。
船内に迫りくる海水から逃げろ! というシーンにもいくつものトラップが。
ハラハラドキドキのエンターテインメントの展開です。
ここであらわになってくるのが社会の縮図。
船の構造は、船底に近い一番下の客室が3等室一番安く、乗っている人も庶民。
上の客室にいくにしたがって、上流階級の人が宿泊しています。
この上下の構造、どこかで見たことがありませんか?
そう、ポン・ジュノ監督のアカデミー作品賞映画「パラサイト 半地下の家族」に出てくる家の構造です。
客船という1つの建造物の中に貧富の差が表現されているんですよね。
その社会の縮図ともいうべき客船が沈んでいくとき、何が起こるのか。
貴族も庶民も人命が最優先となり、お金というものがただの紙切れになっていきます
(買収が意味をなさないシーンはグッときます)
わが身の生存欲を優先する人が大多数の中、それを投げ捨ててでも役割を全うする人、大切な人を守ろうとする人がいる。
人のために自分の命を全うする人々を目にする時、命の重さ、大切さを改めて実感します。
ラストの101歳のローズが秘めていた思いを話し、ファンタジーな世界が広がるエンディング。
感情をゆるがす練りに練られたジェットコースター的な構成のせいで見終わったあともドキドキしていて、余韻がなかなか離れません。
エンターテインメントの中に社会構造と人間賛歌を織り込んである名作ですね。
PS:タイタニック号といえば、元YMOでミュージシャンの細野晴臣さんのおじいさんが唯一の日本人乗船者&生存者ということで有名。
細野さんのおじいさんが生存者となっていなかったら、今の細野さんも生まれていなかったわけで。
運命を感じますね。
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