「勝手にしやがれ」(1959年 フランス)
男と女のすれ違いを描いた名作
その斬新な技法から見る。
4月から始めた、本「SAVE THE CAT」に掲載されている189作品を徹底的に見るというシリーズは、ほぼ終了(半年目標でしたが、先日達成)。
主に映画の構成について勉強させていただきました!
これで終わるのは惜しいので、次は、本「映画はこう作られていく」に掲載されている126作品の中から日本で配信されている作品を見ていこうと思います。
こちらの本は、アクティングから、ディレクティング、ライティング&カメラ、編集、脚本までを大まかに説明してある本。
これまではハリウッド映画中心でしたが、それ以外の国のあまり知られていない映画も掲載してあります。
さて、今朝の1日1映画は「勝手にしやがれ」(1959年 フランス)を鑑賞。
フランス、ヌーヴェル・ヴァーグの決定打と言わしめたジャン=リュック・ゴダール監督の最高傑作です。
警官を殺してパリに逃げて来た自転車泥棒のミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアとお互い自由で束縛のない関係を楽しんでいた。
そんなある日、彼の元に警察の手が及んできて…。
「カッコいい」「おしゃれ」「スタイリッシュ」という言葉が似合う映画。
10代の頃はもちろん、数年前に映像文化ライブラリーで上映された時にも観に行きました。
やっぱり、その都度で見るたびに違う見方ができますね。
構成について見てみると、わりとハリウッド映画と似ていて分かりやすい。
ですが、通常の映画と何かが違う…。
それは当時は斬新と言われた撮影技法のせいかなと。
例えば、時間の経過を無視して同じアングルのショットを繋ぎ合わせる「ジャンプカット」という技法。
Youtuberの動画では、コメントの間を全て切り取ってつないでしゃべりを高速化してあるものをよく見かけますが、分かりやすく言うとあの技法ですね。
それをシーンの合間でやっているので、ストーリーが飛んだような印象になって違和感がある。
ストーリーの前後に何があったのかは「見ているあなたの想像力で補ってください」となっています。
想像力の豊かな人なら分かりやすいんですが、そこまで想像力を使いたくない人にとっては不親切。
というのも、人間の脳は見ているものを理解し、感情が乗るためには最低限一定の時間がかかるため、ある程度の時間をかけてストーリーを展開する必要があるからです。
きっとゴダール監督は、観客にそれまでの映画の既成概念を壊し、観客に「新しい出会い」を提供したかったということが分かります。
今回見て、女性の成長や、衣装のチェンジによる時間経過、ラストにつながる表情やポーズの伏線、カメラの人物の追い方、監視カメラ的アングル、カメラ目線でセリフを言う、時代を象徴するラジオ放送、転換の効果音、気持ちの言語化、などなどいろんな気づきがあって、なんか間違い探しじゃないですが、隅々まで観て楽しむ要素がある映画だなと実感。
観た人によって評価が分かれ、賛否両論ありますが、見るたびにいろんな見方をして楽しめる映画という意味ではいつまでも愛される名作なんでしょうね。
主人公や女性の生き方について、この映画を男性目線からと女性目線から見るのとではすごい差がありそうで、そういう部分も男性に聞いてみたいです。
↓予告編
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