『時をかける少女』(1986年 日本)
画像:リンクより
「時を戻そう」の元祖かも。
大林信彦監督のこだわり&松任谷正隆&ユーミン夫妻の音楽が郷愁を呼び起こす。
今朝の1日1映画は『時をかける少女』(1986年 日本)を鑑賞。
放課後、掃除当番で学校に残っている和子(原田知世)。
実験室の物音に彼女が様子を見に行くと、床に落ちたフラスコから白い煙、そして強烈なラベンダーの香り…。
気を失った彼女は、それ以来、不思議な経験の連続。
どうやらラべンダーの香りに秘密があるらしいと分かるのだが…。
筒井康隆原作のヤングアダルト向け小説「時をかける少女」を大林宣彦監督が映像化。
原田知世が初主演し、第7回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したたヒット作です。
今度ロケ地の竹原に遊びに行くので、事前に見ておこうと思い見てみました。
冒頭はは主人公の女の子1人+男の子2人の幼馴染が、坂の多い尾道や竹原の歴史ある街並みの中で甘酸っぱく展開。
原田知世さん16歳での初出演映画ということで、声のトーンや表情が初々しくて、緊張気味に張り切って演技しているのが伝わってきます。
セリフ回しがさらっとしていながらも、確実に存在感を残していて、この映画の雰囲気をグッと引き締め&引き上げている気がします。
中盤から後半にかけては、不思議なことが起こったり、ミステリーっぽく時空を超えたりする展開があって、アイドル映画ではありますが、1作品の中にいろんな要素が入れ込んであって最後まで飽きさせないですね。
そして「五感」を入れ込んだ映画って優れている作品が多い気がするんですが、この映画はその中でも難しい「嗅覚」を巧に取り入れているのが特徴。
出てくるのは「ラベンダーの香り」。
これがあまり一般的でないマニアックな香水や花の香りだと分からないので共感しづらかったりするですが、誰もがポプリや芳香剤で1度は嗅いだことがある「ラベンダー」をチョイスしているところが、見る者の香りの記憶を呼び起こす作用があっていいです。
大林信彦監督作品をあまり見ていなくて、監督の作品についてあまり語れないのですが、素人目で見ても“技法のオンパレード”というぐらいあらゆる撮影技法が詰め込まれている。
しかも画角を変えたり、パートカラー(1つの画面にカラーの部分と白黒の部分がある)、コマ撮りのようなジャンプカットなど、60年代のヌーヴェル・ヴァーグを彷彿とさせるような、日本の80年代ならではのチャレンジ精神といいますか、商業映画の中にも既成概念を打ち破りたいというエネルギーを感じるんですよね。
最後の最後まですごく爽やかな原田知世さんの魅力がはじける映画なんですが、私はエンドロールで涙が。
自分でも不思議なんですが、映画の中の原田知世さんが「第4の壁」を超えて観客に向かって歌いだすテーマ曲「時をかける少女」がねぇ、ものすごい郷愁を呼び起こすんです。
なんなんでしょうね。
作詞・作曲:松任谷由実/編曲:松任谷正隆の夫婦が作り出す、映画の世界観を歌った歌詞と、メジャーコードとマイナーコードが波のように繰り返す、絶妙につながれたメロディー。
その音には現在と過去や未来を浮遊しながら行ったり来たりする主人公を象徴しているかのようなゆらぎがあって。
ジブリも久石譲さんの音楽が郷愁を呼び起こしますが、この映画もエンディングのこの曲が最後に映画を完成する役割をしていて、映画における音楽の力を感じます。
じんわりするいい作品。
竹原に行くのが楽しみになってきました♪
↓予告編
↓“タイムリープもの“の傑作といえば、これらの作品も楽しいです。
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PS:ソウル・梨泰院で痛ましい事故が起こってしまいました。
私も何度か行ったことがあり、ショックで。(某人気アイドルグループのメンバー兼俳優さんのドラマのロケ現場に遭遇したことも)。
2年前の2020年2月「梨泰院クラス」が韓国で放送されていた頃(日本ではまだ未放送)には、友人と「梨泰院クラス」のロケ地巡りに行こう!と飛行機もホテルも全部予約していたんですが、行く当日の朝に韓国でコロナ患者が急速に増えたニュースがあり、フライト3時間前にすべてキャンセルした記憶が…。いつかリベンジしようと思っていたんですが…。
在韓米軍の軍人さんや外国人も多い街で、普段から週末は朝までにぎわっている印象ですが、このような事故が2度と起こらないように願うばかりです。