カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『流行感冒』(2021年 日本)

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画像:リンクより

志賀直哉の原作をドラマ化
100年前のスペイン風邪の様子は「あるある」だらけ

今朝の1日1作品はNHKの特集ドラマ『流行感冒』(2021年 日本)を鑑賞。

 小説家の私(本木雅弘)は、妻の春子(安藤サクラ)と4歳の娘・左枝子、二人の女中とともに暮らしており、娘の健康に対して臆病なほど神経質である。

時は大正7年(1918)秋。

流行感冒スペイン風邪)が流行り感染者が増え始める中、女中の石(古川琴音)が村人が大勢集まる旅役者の芝居興行に行ったのではないかという疑惑が浮上し…。

今から約100年前、全世界を未知なる恐怖に陥れた「スペイン風邪」。

感冒流行の中、理性を失い無闇に人間不信に陥った主人公が、人への信頼を取り戻し日常に帰るまでの‘心理的な綾’を描いた物語です。
(脚本:長田育恵/音楽:清水靖晃/制作統括:松川博敬/演出:柳川強

志賀直哉の原作ということで鑑賞。

新型コロナウイルスの流行でのコロナ禍とまさに同じようなことが100年前にも起こっていて、その心理描写は今見ても共感できる「あるある」だらけ。

疑心暗鬼に陥るプチパニック作品ですね。

こういう、人間ではないウイルス的なものが「敵」となった場合、その対応としてどういうドラマ展開にするかというのがあると思うんですが、このドラマは家族を焦点とし、1人の女中という家族に近い存在の立場の人間を「敵」とみなし排除していく様子が描かれていて、後半には記者が伝える世間や世界の様子とともにそれが解消していく様子が描かれるのでまとまりがよいです。

この「敵」を、対応しきれない政府であるとか、スペイン風邪を利用して一儲けしようという輩(やから)にすると皮肉がもっと効いて、社会派になったり、ハリウッド的展開になったりするんですけどね。

季節は秋で、子供が庭にできた赤くて小さな南天の実や黄色に色づいたカエデの葉などを廊下にならべ、廊下を慌てて通る人がそれらを蹴散らすという足元のシーンが何度か出てくるんですが、主人公の作家先生をはじめ、ちょっと裕福でゆったりとした時間を過ごす家族に、スペイン風邪がそれらの時間や空間を蹴散らすようにやってくるメタファー(隠喩)のような描き方がされていていいですね。

構図は三分割法が多用されて美しいし、本木雅弘さん、安藤サクラさんの夫婦の絆みたいなものもほほえましい。

当時の“黒マスク”をしている人々の様子や、スペイン風邪で亡くなった力士や作家、その影響で亡くなった俳優などの話も出てきて歴史的にも勉強になります。

いつの時代も人の心理や行動は変わらないということが良く分かる作品です。

予告編(Facebookリンク)↓

https://fb.watch/grCZEE4zXu/

 

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