カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『緋文字』(1972年 西ドイツ・スペイン)

画像:Link

ドイツ映画界の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督の初期作品
姦通の罪で差別される女性の過酷な人生を描く

昨朝の1日1映画は『緋文字』(ひもんじ)(1972年 西ドイツ・スペイン)を鑑賞。

イギリスから新天地アメリカへ移住してきたヘスター(センタ・バーガー)。

彼女は奔放な性格だったため、色眼鏡で見られ土地で孤立してゆく。

しだいに彼女は寂しさをつのらせるが、一人の牧師(ルー・カステル)が現われて彼女をなぐさめる。

だがある日、ヘスターが姦通の罪を犯したと発覚、彼女は村八分になってしまう…。

植民地時代のアメリカで、姦通の罪を犯した女性の生きざまを見つめるナサニエルホーソンの名作を、巨匠ヴィム・ヴェンダースが全編ドイツ語で映像化した作品です。

ヴィム・ヴェンダース作品は『ベルリン・天使の詩』(1987)ほか、何作品か見ているんですが、深い感動を呼び起こされる印象。

この作品は監督の初期の作品で、コントラストの強い黒を基調とした色味が、重くて暗いヨーロッパの風景画を見ているような雰囲気がありますね。

未婚の母と子が「その子供の父親は誰だ?」とののしられながらも生きなければいけない生きづらさ、その子の父親であると言えない社会的立場、元夫のメラメラと静かに燃える嫉妬心が静かに描かれています。

この映画、すごく音楽が特徴的で、特に前半に流れるテーマ曲は印象に残る曲なんですが、今の時代に聞くと映画の雰囲気とは合ってない気も…。

テーマ曲に公開当時の70年代の雰囲気が漂っていて、公開時に見ると違和感なく見ることができたと思うんですが、令和のこの時代にみると、ちょっと浮いてしまっているというか。

音楽を手掛けているのはユルゲン・クニーパーというヴィム・ヴェンダース専属といってもいいくらいの映画音楽の作曲家で、数々の映画音楽を手掛けているんですが、この曲は映画音楽というよりは単体で聞いても聞けそうな曲。

コーラスがワー♪と入って、希望的な未来が待っていそうな雰囲気があるんですが、画に映っているのは辛い人生を歩む母と子というミスマッチもあって。

一方後半はグッと感情に寄り添う音楽になっているんですけどね。

撮影はケルンのスタジオで行われ、外観はスペインのガリシアで撮影。

技法は、日中の撮影だけど夜に見せる夜間露出を見ることができます(影で分かる)。

すんごい遠くまでくっきり綺麗に入り込んでいるシーンが何か所か出てくるんですが、ミニチュアの船などを使った強制遠近法を使っているそう。

美しい画には、秘密が隠されているのですね。

ちょっと『ピアノ・レッスン』(1993)のようなテイストもある、登場人物の秘めた苦悩を描いた作品です。

 
 

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