カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『人間の條件』第三部 望郷篇/第四部 戦雲篇(1959年 日本)

軍隊に訪れる悲劇の数々。
その様相はクライマックスへ

昨日と今朝の1日1映画は『人間の條件』第三部 望郷篇/第四部 戦雲篇(1959年 日本)を2日続けて鑑賞。

労務管理の職を解かれ、関東軍に配属された梶(仲代達矢)は、連日の厳しい訓練に耐えつつも、上等兵らに睨まれ、思想犯を兄に持つ新城(佐藤慶)ともども迫害の日々を過ごす。やがて新城は脱走し……。

全6部構成の中盤の計2部で、舞台は戦争の最前線へ。

軍隊の中で起こるいざこざや、死への不安、何のために戦うのかなどが主人公を軸に、主要キャストたちのエピソードで綴られていきます。

第3部では田中邦衛が主要キャストに。

北の国から」の朴訥な印象しかなかったんですが、この映画の27歳当時でもあの感じがあって、シャイな表情で絞り出すようにしゃべる雰囲気がまじめさを醸し出していていいんですよね。

第4部は佐田啓二川津祐介、井川比佐志、千秋実などがそれぞれの立場や考えで主人公と対立したり悩ませたりと主人公を取り巻く状況は複雑さを増していきます。

全6部を120分の映画で換算すると、第3部・第4部あたりは悪いことが起きる時間帯。

主人公は兵隊の教育係を任されるんですが、兵士に対して優しく接し、「生き延びろ」ということだけを目標に生きてきたところに、次々と難題が押し寄せます。

目の前の敵と、仲間の混乱が同時に訪れた時、どう対処するのか。

クライマックスとなるそのシーンで、軍という組織を統制するのがいかに過酷で難しいのかを思い知らされます。

一般の社会生活ってある程度知識や生活水準や考え方が似た人たちが集まって組織や共同体を形成している場合がありますが、兵隊の場合は全国から寄せ集められたいろんな環境、考え、年齢、体力、性格の人がいて、軍の教育を徹底しそれらの人を取りまとめる作業は相当な苦労を伴う。

主人公は命の大切さを説きはしますが、軍の厳しさを徹底しない独善主義を貫くうち、それが逆に軍内部から崩壊し始める。

精神を極限状態に追い詰める戦争が、いかに人間の判断を狂わせるかということを強烈な皮肉で描いてあって、戦争のリアルを感じます。

あと2部がどう展開していくのか。

主人公・梶にどんな心の変化が訪れるのか、最後まで見ていこうと思います。

↓第三部 望郷篇/第四部 戦雲篇 予告編

 
 

第一部・第二部についての記事はこちら↓

katori-nu100.hatenablog.com

 

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