カトリーヌの「朝1日1映画」

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『シン・ウルトラマン』と見比べてみました。

実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』(1979年 日本)

TVシリーズの復活を目的に、極めて人間ドラマ性が高く評価されていた実相寺昭雄が監督した第14話、15話、22話、23話、34話を再編集して作られた劇場映画。

実相寺監督の盟友である脚本家・佐々木守のカラーも色濃く反映されています。

先日見た『シン・ウルトラマン』のアングルについて、TVシリーズの監督を務めた実相寺昭雄のオマージュでしょうと教えていただき、この作品を鑑賞。

テレビシリーズの初代『ウルトラマン』をあまり知らない世代としては(再放送では見ているかもですが…)、『シン・ウルトラマン』を見てもピンとこないシーンがあったんですが、この『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』を見ると、あー、あれが、あのことかーと謎が解けた気分です。

やはりTVシリーズは子供向けとして作られているので分かりやすいですね。

この作品はナレーションが全編にわたって入っていて、状況説明をするとともに隊員やウルトラマンを鼓舞するようなセリフも盛り込まれる。

マーチ風の曲とともに、隊員やウルトラマンを応援しようっていう雰囲気を作っていて、共感できます。

子供たち自身が描いた絵が怪獣に変身し、子供たちはウルトラマンではなく怪獣側に共感し応援してしまうというエピソードがあり、子供向け作品だけどちゃんと皮肉も入れ込んである。

また、怪獣はどこに行っても攻撃され、居場所がないというお話も。

きっと人間社会のメタファー(暗喩)として入れ込まれているんだと推測します。

勧善懲悪とはまた違って、多面的なものの見方を提示している部分が永遠の名作って言われる所以なんでしょうね。

アングルは確かにローアングルが多い。

大怪獣を見上げるシーンでローアングルで撮影すると、怪獣の大きさをより大きく感じることができて効果的だからでしょう。

でも『シン・ウルトラマン』ではそのバランスが極端で、誇張されてる気が。

たしかにちょっとやりすぎ感がある気もしますね。。(それも面白いんですけどね)

『シン・ウルトラマン』の物足りなさとして、個人的には「感情表現」がありまして。

闘っている時無言で、表情も無表情なので、戦いながらウルトラマンが今どういう状況なのか(力がまだあるのか、力尽きているのか、痛がっているのか、しんどいのかなど)が分からないんですよね。

カラータイマーがなくなったのも拍車をかけてて。

でもTVシリーズウルトラマンは、「ジュワッ」「シュワッチ」とか、格闘の際の威勢のいい声や飛ぶときの声などがあり、体力的にもなんとなくどういう状況か分かる。

怪獣も寂しがったり、痛がったりしているのが分かるようにしてあるんですよね。

それによって感情移入ができ、応援したくなる。

この違いは大きいと感じました。

(『シン・ウルトラマン』はデザイン的に声が出せないという説もありますが)

主人公にいかに共感して約2時間の物語を一緒に旅できるか…を考えた時に、私はこちらの作品が好きだなぁ(あくまで個人的感想です)。

画面的には1画面内でのパートカラー(部分的にピンクとかオレンジとか)は面白いですね。

また、土管とかテトラポットとか高度経済成長期の日本のインフラ整備を象徴する土木資材がたくさん出てきて、なんだかほっこり。

昔の子供は空き地で大冒険していましたね。

たぶん、こっちを見てから『シン・ウルトラマン』を見た方が100倍楽しめる、そんな気がしました。

PS:このTVシリーズ版では隊員たちがカレーを横一列で一斉に食べていて、ハヤタ隊員が急に外に出て変身する時、スティック状の変身アイテム「ベーターカプセル」と間違えて、カレースプーンを突き出すっていうシーンは面白かったです。
隊員の桜井浩子さん、「ウルトラセブン」の楽曲を作った冬木透さんのコンサートで4年前に来広されていました。

↓劇場版ウルトラマン予告集

 
 

『シン・ウルトラマン』の記事はこちら↓

katori-nu100.hatenablog.com

 

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