『八月の鯨』(1987年 アメリカ)
「人生の半分はトラブルなのよ」
「あとの半分はそれを乗り越えるためにあるの」(映画より)
今朝の1日1映画は『八月の鯨』(1987年 アメリカ)を鑑賞。
メイン州の小さな島にある別荘で、毎年夏を過ごす老姉妹リビー(ベティ・デイヴィス)とセーラ(リリアン・ギッシュ)。
かつて島の入り江は8月になると鯨が現われ、少女だったころの二人は鯨を見に行くのが楽しみだった。
姉妹は長い間互いに支え合って生きてきたが、病気で目が不自由になった姉のリビーは周囲にとげとげしく接するため、彼女の世話をするセーラは心を痛め…。
映画創成期から活躍する大女優リリアン・ギッシュとオスカー女優のベティ・デイヴィスが共演した1987年公開の人間ドラマです。
昨日見た『散りゆく花』で少女を演じたリリアン・ギッシュが91歳で出演していて、一瞬タイムワープした感覚になったんですが、見進めていくうち、ものすごく響きまして。
オリジナルは舞台作品で、キャラクターを同年代のスターに変更し映画化。
失明して不安感が強く現実的で頑固な姉と、戦死した夫を思い続けるよく働き人当たりが良くふわっとあたたかい雰囲気の妹。
対照的な2人の関係を中心に、海辺の家と美しい自然の中で繰り広げられる会話劇となっています。
あとわずかの人生をいかに生きるかを登場人物それぞれが語り、葛藤もするんですが、これまでの思い出、それらから得てきた人生の教訓がたくさん出てきて、それらが糸口になる。
そのセリフの数々はわが事のように刺さるんですよね。
映画後半のセーラが若い頃の夫との思い出を語るシーンは名シーンだと思います。
この映画、美術や小道具、衣装が本当に良い。
彼女たちの歴史を、部屋に飾っている物で表現したり、来客に備えて髪や服を整えたり、料理を作ったり、こまめに掃除をすしたりすることで「毎日を、そして自分自身を大切に生きている」ことが伝わってくるんですよね。
日々の暮らし方、プラス思考の大切さも教えられる気がします。
あと、家の修理をしてくれる近所のおじいさんがいて、私もそういう人がいたらなぁと心底思います。
今、家で修理したい箇所が何か所があって、手つかずになっていて…。
私のような、あと何年生きるかの読みと、それでも今やった方がいいことのせめぎあいに悩んでいる人は、見たら生きるヒントになると思います。
それにしてもリリアン・ギッシュの可愛さは健在。
あんなおばあちゃんになれるかなぁ。
PS.内容が心に響きすぎて、映画技法に触れておりませんでした…。
照明の具合がふわっと当ててあり、配置を綺麗に見せる三分割法、日の出日の入りのゴールデンアワー、などが印象的です。
↓予告編
主演リリアン・ギッシュの10代の時の作品です。↓katori-nu100.hatenablog.com