『鳥』(1963年 アメリカ)
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『孤狼の血 LEVEL2』かと思うシーンも。
3,200羽の鳥が出演するパニック・サスペンス。
今朝の1日1映画は『鳥』(1963年 アメリカ)を鑑賞。
サンフランシスコの近郊にある漁村。
ある日、一羽の鴎が若い女性の額を襲った。
翌日、大群の鴎が押し寄せ、暖炉からは無数の小鳥が侵入してくる。
ついに鳥の襲撃が始まり、人々は原因もわからぬまま逃げまどう。
『レベッカ』のダフネ・デュ・モーリアの原作を元に、アルフレッド・ヒッチコックが撮り上げたパニックサスペンスの傑作です。
久しぶりに見たんですが…やはり怖いですね。
でもこうやって見直すと、鳥以外の人間関係のエピソードが深いことに気づきます。
11歳の時に母親と生き別れた悲しみを持つ女性が主人公なんですが、愛する男性の妹は同じく11歳で、母親やみんなに愛されている。
その男性の母親は夫が亡くなってから息子が精神的な頼り。
元彼女や主人公などの女性を誰も息子に寄せ付けない雰囲気。
子供の頃に母を失った主人公の「不安」、夫を失った男性の母の「不安」。
それらの不安をあおるように鳥が襲来します。
また、鳥が主人公を攻撃する=母親からの攻撃のメタファー(暗喩)ともとれる。
家の外を鳥の大群に囲まれ、外に出れなくなります。
まるで「“カゴの鳥”はどちらの方だい?」と鳥に人間が問いかけられているようで。
私的な人間関係(ミクロ)と、人間VS自然の環境社会(マクロ)の対比しながら、鳥を人間に見立て象徴的存在としても描いているというかなり高度な技をやっていることに気づきます。
BGMとしても音楽はなく、鳥の大群の鳴き声(シンセサイザーも駆使)が響き渡る。
セリフのやり取りはとってもスタイリッシュでかっこいい。
怖がらせるための緩急のある演出に脱帽です。
また、意外にも『孤狼の血 LEVEL2』かと思うシーンがありまして。
そのシーンを見た時、ちょっとウワッと思いました。
ネタバレになるので控えますが、きっと白石監督(原作にもあるのかな?)も『鳥』を意識していたに違いないと思われます。
昔見た作品も、年月が経つと違う角度で見ることができて面白いですね。
↓予告編