『ユー・ガット・メール』(1998年 アメリカ)
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トム・ハンクス&メグ・ライアン主演。
リメイク元の『桃色の店』と見比べてみました。
映画の勉強のための本3冊目「脚本の科学」の文章中に記載されている映画を拾い上げて見る作業がほぼ終わりました。
今日からしばらくおすすめされた映画などを見ていきます。
今朝の1日1映画は『ユー・ガット・メール』(1998年 アメリカ)を鑑賞。
小さな絵本の店を経営しているキャスリーンは、メールで知り合った顔も知らない相手「NY152」に恋をしていた。
実はその相手は彼女の店の近くにオープンした大型書店チェーンの御曹司ジョーだった…。
トム・ハンクス&メグ・ライアン主演のメールを介した恋を描くロマンチック・コメディーです。
この作品は昔見たんですが、ほぼ忘れているのと、昨日見た『桃色の店』(1940)のリメイクがこの作品ということで、見比べてみました。
こちらの作品は40代前半の男性と30代後半の女性が主人公で、いずれも本屋の大型店、個人店の経営者ということで、大人の恋愛。
ある程度恋愛も失恋も経験してきた2人は落ち着いていて、雰囲気もムードがあります。
話題も男の気持ちを「ゴッドファーザー」に例えたり、音楽は60年代に流行ったヒット曲などが使われていたりして、これらの映画や音楽を見たり聞いたりしてきたある程度の経験を積んだ大人がこの映画を見た時に、記憶を呼び起こすような設計がされています。
だけどメールの中だけは若い時のようにドキドキしていて、楽しんでいるんですよね。
一方『桃色の店』は、たぶん2人とも30歳前後という設定で、少し若い。
本音を言い合う場面は、喧嘩芸(鬼越トマホークほどではないですが…)かというくらいの相手を傷つけるぐらいの言い合いっぷりで、手紙の文章は知的で文学的という、感情や表現のふり幅が広く、チャキチャキドタバタ&夢見がちな雰囲気を醸し出しています。
また『ユー・ガット・メール』の方はメールの文章を打つ場面も多く登場し、日常とメールの中の2つの世界を対照的に描くのに対し、『桃色の店』は手紙を書く場面は1場面も出てこず、届いた手紙の内容を読んで相手を想像するシーンが出てきます。
たぶん『桃色の店』は原作の戯曲を踏襲している部分が多く、手紙を書く場面は舞台的には大映しにできないので、省かれているのかも。
重要なカフェのシーンなどはそっくりそのままなんですけどね。
また『ユー・ガット・メール』は複雑な家庭環境だけど、成功者の余裕が。
『桃色の店』は大恐慌で第二次世界大戦間際の不況のさなか、若い女性が何とか働き口を見つけたいということと、中堅社員だけどそこまでお金はない男性が主役で、時代や世相を反映しています。
いろんな映画を見ると、映画の技術はもちろんですが、知らなかった歴史や時代背景を知ることができて、本当に勉強になりますね。
『ユー・ガット・メール』の主人公ジョーが働く大型書店が次々と閉鎖する昨今、キャスリーンの経営するこだわりの詰まった小さな書店が頑張っている時代が訪れる日が来るとは。
未来は分からないもんですね。
↓予告編
この映画の元ネタです↓