『桃色の店』(1940年 アメリカ)
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『ユー・ガット・メール』は本作のリメイク。
「思い込み」や「すれ違い」が楽しいロマンチック・コメディー。
今朝の1日1映画は『桃色の店』(1940年 アメリカ)を鑑賞。
ある日、クララという娘が雇ってもらいたいとやってきた。
主任のクラリックは独断で断るが、クララは店主のマトチェックに巧みに取り入って雇ってもらう。
その頃、クラリックは新聞広告に載っていた文通希望の女性と文通していた。
クラリックはいつか彼女と会うことを希望していたが、ためらいながら文通を続けていた。
だが、クリスマスも近いある日、クラリックは突然理由も告げられずにクビになってしまう…。
エルンスト・ルビッチが製作、監督したロマンチック・コメディーです。
元々は1937年にブダペストで初演した戯曲なので、場面にはそこまで変化はないんですが、お店の従業員のエピソードが何層にもなった群像劇になっていて、ストーリーに厚みがあって華やかなんですよね。
やはり昨日見た『極楽特急』同様、シナリオが秀逸。
群像劇ということで、主軸がぶれないようにするために、冒頭に「この物語はマトゥシェク商店の物語であり、マトゥシェク商店の従業員の物語だ。店はハンガリーブダペストのアンドラシー通りを曲がってすぐのバルタ通りにある」という字幕が出ます。
そのことによってまず観客にこれから起こる「原因」と「結果」をある程度理解させる措置がなされています。
その後、数人の会話が進むのですが、会話の内容の“画が見える”セリフにしてあって、想像が膨らんで楽しいんですよね。
そこに1組の男女の手紙によるすれ違いを、目の前でのズケズケ言う「本音」と、文章での完美で文学的な建て前の「言葉」の数々で彩る。
予想と現実、見た目と中身、葛藤と裏切り、それらを印象的な小道具とともに分かりやすいカットでつないてあって。
シナリオの面白さを魅せてくれるエルンスト・ルビッチ監督ですが、先日見たビリー・ワイルダー監督もセンスがいいシナリオだなと思ったら、ワイルダーって、ルビッチの弟子だったんですね。
ルビッチ監督ははこの映画を「人生でこれまでに作った中で最高のフィルム」と呼んでいます。
のちに多くの作品にリメイクされていて、トム・ハンクスとメグ・ライアンが出演した映画「ユー・ガット・メール」(1998年)もこの作品のリメイク。
才能はいろんな形で引き継がれていくんですね。
↓予告編
この映画のリメイクです。