『極楽特急』(1932年 アメリカ)
By "Copyright 1932 by Link
男女の駆け引きがお洒落に展開する、
泥棒カップルのコメディー。
今朝の1日1映画は『極楽特急』(1932年 アメリカ)を鑑賞
ベニスで腕を競って惚れあった泥棒コンビ、ガストンとリリー。
パリに移って資産家のコレ未亡人をターゲットにする。
コンビで未亡人の屋敷に雇われチャンスを狙うも、ガストンとコレの間に恋愛らしき感情が芽生えて計画は微妙に。
男女の気の利いた都会的な会話のやり取りでストーリーが展開する、洗練されたセリフが楽しいエルンスト・ルビッチ監督によるコメディーです。
今から90年前の映画なんですよね。
でも全く古さを感じさせない内容。
泥棒が主人公で、息を吐くように嘘をつくんですが、そのセリフに「間接話法」と呼ばれる隠喩、暗喩、誇張、換喩、アイロニーが潜んでいるんです。
それがとてもムードがあって、オシャレで知的で、特に男女間においては、だます方とだまされる方の駆け引きのゲームになる。
ルビッチ監督はこの「間接話法」の才能が「ルビッチ・タッチ」として一躍有名になった人なんですが、以前見たルビッチ監督の『ニノチカ』もセンスあふれるセリフがたくさんありました。
個人的にはこの時代の「アール・デコ」のデザイン様式にも注目。
シンプルで合理的な、幾何学図形をモチーフにした直線的で記号的な表現が特徴の装飾美術で、1910年代半ばから1930年代にかけて流行していました。
パラマウントのアート部門の責任者であるハンス・ドライヤーがデザインしたという小道具や装飾の数々が映画の中にたくさん出てきて、リアルにこうやって使われていたんだというのか見えて楽しいです。
この映画の製作後に倫理規定ができて、しばらくこういう泥棒が主人公だとか性的なニュアンスを含む映画はご法度になったんですが、大恐慌時の不況の様子も映画に登場し、時代を感じます。
エルンスト・ルビッチ監督の作品、シナリオの勉強にもう少し見てみたいと思います。
↓オープニング