『シェルブールの雨傘』(1964年 フランス)
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超絶おしゃれ&深い感動
ミュージカル映画の金字塔
今朝の1日1映画は『シェルブールの雨傘』(1964年 フランス)を鑑賞。
1957年、フランスの港町シェルブール。
傘屋の娘(カトリーヌ・ドヌーヴ)と自動車修理工の青年(ニーノ・カステルヌオーヴォ)が恋に落ち、結婚の約束を誓い合う。
やがて青年はアルジェリア出征に徴兵され、戦地で消息を絶つが…。
ジャック・ドゥミ監督&カトリーヌ・ドヌーブ主演で第17回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した1964年の傑作ミュージカルです。
オープニングシーンからカメラの上下パンによる雨傘のショットにノックアウト。
その次に目に飛び込んでくるのは赤、黄、青、緑と絵具のパレットをひっくり返したようなカラフルな建物や内装、そして衣装。
そこにジャズミュージックに乗せて主人公たちが歌う。
もうこれ以上ないくらいの極上おしゃれ空間を演出してあります。
ミュージカル映画で全編セリフなしの全部歌って珍しい。
メロディーに乗せると、キャスト達の感情表現が平坦になりがちなんですが、そこを音楽で補っていて、顔では笑ってるけど、心で泣いているようなシーンにはめちゃくちゃ悲しい音楽が流れます。
そのテーマ曲は誰もが知っているメロディーとなっていますが、こういうシーンで使われてたのかーと改めて知りました。
もうラストは号泣。
格差のある愛する二人が戦争によって運命が翻弄されるという、誰もが分かる内容をこんなにおしゃれに描けるなんて。
ほんと素敵です。
途切れなく歌うのもあって、ほとんどのシーンは1シーン1カット。
なので、カメラはシーンに変化をつけるためにズームアウト、ズームイン、上下、横のパン、ステディカム的な動きに合わせてカメラも動く、というのを頻繁に行っています。
切り返しのシーンはわずか。
ドリーと一緒に人物も動くというショットもあったりして、面白いです。
ガラスや鏡のシーンも割とあるんですが、映りこまないようになっていてどうやって撮っているんだろう、すごいなーって。
(つい映り込みがあるかどうかを確認してしまう、自主映画人の性 笑)
タイミングに合わせて歌うというのは、カメラの配置や動きと歌が連動していないといけないので、作曲段階から綿密な動きの設計をしてあるんだと思います。
(カトリーヌ・ドヌーブは別の歌手がアテレコしているとのこと)
なんとなく『ラ・ラ・ランド』に似てるなーと思ったら、この映画をオマージュして作っているんですね。
セットや衣装にものすごい予算をかけてるそうですが、こういう作品、映画人としては憧れますね。
おすすめありがとうございます。
↓予告編