『天国の日々』(1978年 アメリカ)
By The poster art can or could be obtained from Paramount Pictures., Fair use, Link
美しい画と、含みをもったセリフ。
想像力が豊かになります。
4月から毎朝勉強のために見てきた、本をもとにリストアップした映画ですが、視聴可能作品はほぼ見終わりましたので、これからしばらくの間はおすすめしていただいた作品を見ていこうと思います。
今朝の1日1映画は『天国の日々』(1978年 アメリカ)を鑑賞。
時は第1次世界大戦開始頃。
シカゴの製鉄工場で働くビリー(リチャード・ギア)は仕事を辞め、妹のリンダ(リンダ・マンズ)と恋人のアビー(ブルック・アダムス)と共にシカゴを飛び出す。
テキサスの農場で麦刈り人として働くことになったビリーだが、若き農場主チャック(サム・シェパード)がアビーに目を付けたと知り……。
カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したテレンス・マリックの監督第2作です。
なるほどー。
貧しさから生き抜くために嘘をついたり逃げたりと行動していく若い3人の行く末。
心をギューッと締め付けられるような切なさと儚さと強かさが表裏一体となったストーリーですね。
印象としては、「画の美しさ」と「想像力」。
まず朝焼けや夕日などの「ゴールデンアワー」の中での主人公たち。
麦畑で日が昇ると同時に働きはじめ、夕暮れまで休む暇なく働きどおし。
この美しい瞬間はよく映画の中に登場しますが、この映画は前半がほとんどこのゴールデンアワー。
こんなに朝焼けや夕日の中で演じる主人公たちは見たことないくらい。
美しい場面だからお話としては良い場面に使われることが多いですが、この映画では労働の過酷さの象徴として描かれています。
ただ、この儚い時間は長くは続かない。
彼らに転機が訪れる前触れともとらえることができ、非常に効果的です。
撮影ではライティング、逆光の補正などめちゃくちゃ苦労しているようですが…。
それから、すべてを明かさず、含みを持たせるようなセリフの数々。
これが、私はちょっと見過ごしていたのか、理解できずに見進めた部分もあるんですが(汗)、セリフではっきりと思いを言わせるのではなくて、その画で「察してください」的な作りになっている。
我々日本人は言葉の裏にある気持ちを「察する」のが得意で日常的にあるので、ああ、そういうことねとさらっと理解できる場面もありますけどね。
キャストは、兄がリチャード・ギアなんですが、品の良さがにじみ出ていて、前半の極貧の役がちょっとね、浮いているように見えて…。
ですが変化した後半は様になっているので、それはOKなんだなと納得。
それにしても妹役の女の子リンダ・マンズの何かを悟ったような目の表情が強烈ですね。
4つのシークエンスに合わせたエンニオ・モリコーネらによる音楽や、わざと状況音を消して風車の音だけにするなど、音のこだわりも印象的です。
素敵な作品をご紹介いただきありがとうございます。
↓予告編