カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

『仮面 ペルソナ』(1966年 スウェーデン)

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ユングのペルソナ理論を反映した
解釈が無限大の心理学的世界

今朝の1日1映画は『仮面 ペルソナ』(1966年 スウェーデン)を鑑賞。

スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンによる心理ドラマ。

舞台女優のエリザベートは仕事も家庭生活も順調で何不自由ない生活を送っていたが、突如として失語症に陥ってしまう。

海辺の別荘で療養生活を送ることになった彼女は、献身的に世話をしてくれる看護師アルマと親しくなる。

しかし共同生活を続けるうちに、互いの自意識の仮面が徐々に剥がれ落ちていき……。

同性愛がテーマかと思って観てたんですが、どうも様子が違います…。

現代音楽のような不協和音、グロテスクなニュース映像などが挟まる、かなり実験的で難解な内容。

イングマール・ベルイマンといえば春に映像文化ライブラリーの特集で『叫びとささやき』を見た時と同じく、分かりやすさはない監督だなとは思います。

ですが、強烈に印象に残る映画です。

心の葛藤を、とことん言葉で吐き出し表現する看護師アルマと、アルマには何もしゃべらず医者の先生への手紙にそっと書きだすエリザベート

しゃべらないということは、ノンバーバルな部分(人の表情や声の調子、香りなど、非言語)が重要になってくる。

ベルイマン監督は彼女たちの表情から内心を読み解く方法として「クローズアップ」を多用しています。

アップにすると、目線の数ミリの動きでも逃さない。

内面の動きを露にするこの手法で、見ている方も不安な気持ちになってきます。

心理的恐怖の要素が満載のこの映画は、これまで多くの分析、解釈、議論の対象となってきて、かなり語る要素の多い映画でもあります。

“無”という言葉も出てきて、哲学や宗教学の域でもある。

神学者ユングのペルソナ理論がベースにあるそうなんですけどね。

個人的な発見としては、昨日見た濱口竜介監督『偶然と想像』でもあったホイップズームを活用した効果的な場面転換があり、おーと思いました。

看護師アルマが過去の体験を卑猥な言葉を交えながら赤裸々に語るシーンも、何となく似たシーンがあるんですよね(濱口監督、影響を受けているのかな?)。

怖い場面もあるので、何度も見れる映画ではないんですが、見た数だけ発見があるような、引き出しの多い映画だなと思います。

PS:食器が北欧デザインでかわいかったです。

↓予告編

 
 

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