『レザボア・ドッグス』(1992年 アメリカ)
By Box Office Mojo, Fair use, Link
タランティーノが3週間半で書き上げた
処女作にして傑作のバイオレンス・アクション。
今朝の1日1映画は『レザボア・ドッグス』(1992年 アメリカ)を鑑賞。
宝石店を襲撃するため寄せ集められた黒スーツ姿の6人の男たち。
彼らは互いの素性を知らず、それぞれ「色」をコードネームにして呼び合う。
計画は完璧なはずだったが、現場には何故か大勢の警官が待ち伏せており、激しい銃撃戦となってしまい…。
宝石店強盗計画に失敗した男たちがたどる運命を、独特の語り口で緊迫感たっぷりに描いたクライムドラマです。
たぶん昔見てるんですけど、完全に忘れていまして再鑑賞。
冒頭は、よくある男性同士の下ネタ入りの雑談で、めちゃくちゃチャラい感じです…。
誰が誰だかよく分からないし。。
ですが、彼らに何があったのかを、時間を遡ったり、主要人物の視点から描いたりしながら彼らの人間性をあぶりだし、命がけの行動が展開し、ぐわッと心臓をつかまれてるかのような感覚に。
観ていて、感情のふり幅がすごい。
最初はマッサージチェアに座っていたのに、いつの間にかジェットコースターの最前列に座らされていたかと思うくらいです。
この緩急の付け方が、私たちの日常ではない、生と死が隣り合わせのチンピラたちや刑事の日常であるという、そこが映画としての醍醐味だなーと思ったりします。
暴力犯罪、ポップカルチャーへの言及、冒とく的な表現、非直線的なストーリーテリングが特徴のタランティーノ監督作品。
キャラクターも同じ服を着ていてもそのキャラが分かりやすい設定(色で呼び合う、特徴的なか立ちなど)になっていて、工夫されていて感情移入がしやすくて。
また人情&非人情の描き方が秀逸で、誰が死んで誰が生き残ると人間は感動するか、ということも設計されていて、もう文句の付けどころがない。
予算がなくてもここまで観る者の感情を揺り動かせるというのは、映画会社から見てもめちゃくちゃ優秀ですよね。
技術的には「スプリットジオプター」と「スローモーション」が印象的。
「スプリットジオプター」は手前にいる人と奥にいる人両方にピントを合わせる技術。
後半に差し掛かったぐらいのところにそれを利用した印象的なシーンがあるんですが、手前の人と奥の人の両方会話などがあると、それに反応する表情の動きがよく見えて、緊張感が増します。
「スローモーション」は1秒当たりのフレーム数を増やして動きを遅くする技術。
最初の方で、レストランのウエイトレスにチップを払うかどうかのたわいもない会話が続いた後、チンピラたちが集まって黒スーツでビシっと決めて歩くシーンに使われています。
この小さなことでごちゃごちゃ言っていた若者たちが、スーツで決めてスローモーションで歩くことにより、一気にクールで魅力的な人物に昇格できる。
映画らしい表現として、この映画の世界観を作っています。
いろんな映画を参考にしているなーと思うこの映画。
いい映画を作るには、映画をたくさん見ることが大事ですね。
↓予告編