カトリーヌの「朝1日1映画」

朝の時間を有意義に♪

「情事」(1960年 イタリア)

By May be found at the following website: http://lasttimeisawdotcom.wordpress.com/2010/08/14/last-film-i-saw-lavventura/, Fair use, Link

印象的な構図で描く、愛のカタチと人間の存在

今朝の1日1映画は「情事」(1960年 イタリア)を鑑賞。

友人達に招かれてエオリエ諸島にヨット・クルージングに出かけた外交官令嬢アンナ、その恋人サンドロ、アンナの女友達クラウディア。

彼らがとある小島に上陸した際、突然アンナが姿を消す。

サンドロとクラウディアはあてもなくシチリア各地を巡ってアンナを探す。

やがて二人の間に一種微妙な感情が交流していき、新たな関係が生まれるのだが…。

イタリアの巨匠、ミケランジェロ・アントニオーニ監督による、1960年度カンヌ映画祭で審査員特別賞ほか各賞を受賞した「愛の不毛」三部作といわれるうちの1作です。

何も前情報無しで鑑賞。

いわゆる、浮気をするという意味の「情事」。

女性主人公の理性と本能のゆらぎを時間をかけて描いてあります。

ですが、うーん、すっきりしない。。。

いわゆるハリウッドの映画の「すっきりする」映画とは真逆にある映画で、たぶん問題解決は簡単ではないという「日常」に近い感覚というか。

とらえどころのないプロット、印象的な視覚的構成、そして現代の風景へのこだわりを特徴とする「謎めいた複雑なムード作品」として知られるミケランジェロ・アントニオーニ監督。

この映画について監督曰く、「感情の中で私たちがどう迷うのかを示したいと思い、映像を通して表現しました。私たちの道徳的価値観は古いからです。私たちの神話や慣習は古く、誰もがそれらは古くて時代遅れであることを知っています。それでも私たちはそれらを尊重してしまうのです」とのこと。

映画の構成や既成概念を壊すことを目的に撮っている、チャレンジャーな監督ということが分かります。

それを知ると確かにおっしゃる通りで、納得。

映画の構図として特徴的なのが「ネガティブスペース」を上手く使っていること。

映画の画面において、人物が占める割合を小さくして、背景を多く入れるという手法。
この映画では後半に何カットか出てくるんですが、姿を消してしまったアンナを探し回る中いろいろあって、行き詰った不安感や無力感を出すのに、背景を多くし、人間を小さくして、ごく普通の弱い人間に過ぎないという人間の存在の虚しさみたいなのを表現しています。

それが、非常に印象に残るショットで。

モノクロでもゆっくりじっくり見せて考えさせる、味わい深い映画ですね。

↓予告編

 
 

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村