『危険なメソッド』(2011年 イギリス・ドイツ・カナダ・スイス・アメリカ)
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ユングとフロイト、一人の女性が繰り広げる
“欲”との葛藤
今朝の1日1映画は『危険なメソッド』(2011年 イギリス・ドイツ・カナダ・スイス・アメリカ)を鑑賞。
人間の“精神"という領域に果敢に挑み続けたフロイトとユング。
ふたりの心理学者の友情と決別の背景には、美しい患者との禁断の関係が隠されていた…。
『クラッシュ』『イースタン・プロミス』などで知られるデヴィッド・クローネンバーグ監督が、『つぐない』の脚本家クリストファー・ハンプトンの戯曲を映画化した伝記ドラマです。
心理学に興味はありつつも、フロイトとユングのことはそこまで知らなかったんですが、人間心理には“性衝動”が影響しているというフロイトと、“夢分析”を得意とするユング。
そこに父親から虐待を受けていたという女性ザビーナが患者としてやってきて、ユングが担当医に。
彼女も精神科医になることを夢見ていて。
マゾヒズムとか、性的な描写もあるので、結構大人の映画ではあります。
でもそこまで官能的という描写にまでなっていない気がするのは、サビーナの精神的に病んでいる演技や、客観的な視点を入れた演出からなんでしょうか。
常に、その衝動はなぜか? と常に自己分析したり、精神分析機みたいなのに掛けて「談話療法」を試したりして。
でも、やはり医者も患者も人間で、医師であり、妻がいて、という社会的な側面と、人を愛したり、傷つけたりという感情とのギャップに悩み葛藤し折り合いをつけて生きていく姿は、どの時代でもどの職業でも変わらないということに気づかされます。
学術的なセリフが多いですが、ストーリーはすごく分かりやすいし、登場事物も少なくて、メロドラマ的要素も多い。
フロイトやユングになりきった容姿や手の込んだ刺繍が施された衣装も見ごたえあります。
映像の技術的には「フレーミング」にこだわりが。
1つのフレームの中に占めるキャストの映っている範囲の割合の大小で、その人物同士がどういう関係であるかを分からせるというもの。
例えば、手前にフロイト、奥にユングがいるとすると、手前のフロイトは大きく、奥のユングは小さく映ります。
そのことによって、フロイトはユングの師匠であり、ユングにとって彼の存在感の偉大さということがこのフレーミングによって伝わるという。
しかも、「スプリットジオプター」を使い、どちらにもピントが合わせ、フロイトと対話する時に緊張気味に話すユングの表情を捉え、関係性をより伝わるようにもしてあります。
精神医学はなかなか分からない領域ではありますが、この映画をきっかけに少し本を読んてみたくなりました。
↓予告編