「ミリオンダラー・ベイビー」(2003年 アメリカ)
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賛否両論を巻き起こした
老トレーナーと女ボクサーの痛切な人生
今朝の1日1映画は「ミリオンダラー・ベイビー」(2003年 アメリカ)を鑑賞。
ロサンゼルスの寂れたボクシングジムの門を叩いた田舎育ちのマギー(ヒラリー・スワンク)。
ジムのオーナー兼トレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)は彼女を拒んでいたが、彼女の真剣さに打たれ、彼女のトレーナーとなる。
お互いに父娘の関係をなくしている2人は、激しいトレーニングの中で人間的に歩み寄っていき…。
アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞の主要4部門を受賞したクリント・イーストウッド監督作品です。
公開当時に劇場で見ているんですが、改めて鑑賞するといろんな点が見えてくるもんですね。
前半と後半で描いてあるものがかなり違います。
前半は「ロッキー」のようなボクシングでタイトルを争っていく成長物語。
後半はふとした瞬間による選手生命の危機からの結末まで。
モーガン・フリーマン演じるフランキーの旧友でジムの雑用係、元ボクサーのエディ・『スクラップ・アイアン』・デュプリスが、過去を振り返る形のナレーションによって進行。
前半で登場するセリフ、行動、たわいもない会話、過去、それらが伏線となり、後半部分で劇的にそれらを回収していくさまは、ある意味気持ちよく、練りに練られたシナリオの秀逸さを感じずにはいられません。
印象的なのは後半。
あまりいうとネタバレになってしまうのですが、人生何がきっかけで思わぬ方向に進むかわからない。
いつもやっていたことをちょっと忘れたがばかりに、そのことがきっかけで生死の帰路に立つという、人間の行動の見逃しがちな部分がクローズアップされていて、クリント・イーストウッド監督の目の付けどころの細やかさに脱帽。
そのほかもいいところがたくさんあって。
父と娘のような関係性を、トレーナーとボクサーという教えるものと教わるものの関係として再構築して見せたり、照明をわざと暗くして明と暗を作り、キャストの心理状態を効果的に見せたり、ナレーションによって客観的視点を作ることによって俯瞰としてのストーリーラインを作り、劇的な内容なのに静かな印象を作ったりなど。
相手の動きの逆を突くボクシングの攻撃法のように、普通はこうなるよね、という展開の“逆”を行き意表を突く、魅せる映画の要素がてんこ盛りとも言えます。
ですが、フィナーレの描き方は賛否両論あるのは否めない。
倫理的な問題を取り扱っていて、観た人に議論してほしいという思いで作っているのが分かります。
見終わった今、無性に“レモンパイ”が食べたくなる映画です。
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