「アニーホール」(1977年 アメリカ)
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アカデミー賞受賞の会話劇。
ウディ・アレンが愛される理由が分かります。
今朝の1日1映画は「アニーホール」(1977年 アメリカ)を鑑賞。
ウディ・アレンが監督・脚本・主演を務め、大都会ニューヨークを舞台に描いたラブストーリー。
冴えない風貌だがなぜか女性にモテるスタンダップコメディアンのアルビーは、歌手志望のアニーと出会って意気投合し、一緒に暮らし始める。
しかし上手くいったのは最初だけで、時が経つにつれて互いの嫌な部分が目につくようになり、2人の溝は深まっていく。
そんなある日、アニーは大物音楽プロデューサーのトニーからカリフォルニア行きを勧められ……。
ウディ・アレン監督作品は何本か見たことがあるんですが、この作品はたぶん初見です。
いやー面白いです。
まず、独特の主人公。
神経質でネガティブな主人公アルビーは終始ずーっと早口でしゃべっています。
その会話の中に、チクっと皮肉を込めながら、俯瞰で世の中を見ている。
その中に「関係というのは、サメと同じで常に前進していないと死ぬ」などのセリフで人生とは何かということをある意味悟っていて、それがまさに笑いとペーソスとなって愛すべき人物になっている。
漫才師の宮下草薙の草薙くんみたいな存在っていうんですかね。
ネガティブで神経質なんだけど、恥ずかしいこともすべて含めて自分自身をさらけ出す行為を行っているっていうことが、芸となり、笑いにつながる。
草薙くんがかわいいと思えるような感覚、それがアルビーにもある気がします。
それから撮影方法。
見えないくらい遠いところからずーっとしゃべりながらカメラに向かって歩いてくるシーン。
部屋の中をずっとしゃべりながらうろうろうしている主人公をカメラが水平移動のパンで追うシーン。
主人公も彼女もカメラには映ってないけどただ主人公目線で歩いている会話のシーン。
どれも結構な長回しなんですが、まったく飽きずに見られる見られるのは、そのセリフの内容が面白いからなんですよね。
他にも、普通の映画では御法度の、主人公がカメラに向かってしゃべったり、小さい頃の自分を大人の主人公が見に行ったり、アニメーションになったり、2分割画面、心の声を字幕で出したり、ユダヤに対する抑圧ニュース映像をインサートしたり(監督はユダヤ人)など、従来の映画の概念を壊して面白くしている。
寺山修司なんかも実験的&観念的にやっていましたが、こちらは映画の構成の基本はちゃんと抑えたうえで行っているので、ちゃんとしたラブストーリーとして成立しています。
即興的に撮影されたシーンや、ミスによるNGシーンが面白かったのでOKシーンに採用するなど、絶妙で軽快な撮影・編集がされていて…まさにこれはセンスですよね。
ウディ・アレンが愛される理由が分かります。
プライベートではいろいろ言われている監督ではありますが、他の作品も見たくなってきました。。
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