「ひろしま」(1953年 日本)
市民エキストラ8万人以上の再現力のすごさ。
今日は広島原爆の日ということで、今朝の1日1映画は「ひろしま」(1953年 日本)を鑑賞。
長田新が編纂した文集『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』を八木保太郎が脚色し、関川秀雄が監督した反戦映画。
8万人を超す広島市民がエキストラとして参加し、原爆投下直後の広島を再現しています。
ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を受賞のこの作品。
壮絶です…ほんと。
被爆当時の克明な内容を被爆した親族から聞かされて育ち、被爆瓦が転がる川で遊びながら、平和公園を学区内に持つ学校ということで時間をかけて平和教育を受けたので、原爆はもう知っとるよ、って思ってましたが…。
この映画はそれを裏付けるような詳細なエピソードがこれでもかとうくらい綴られていて、ここまでリアリティーを持った戦争映画はないんじゃないかと感じます。
8万人をこすエキストラもすごいんですが、被爆から7年後に広島市民を集めて再現して撮影している事自体、原爆のトラウマを持つ人もいる中でよく撮影できたなと思うし、映画製作に対する市民の協力体制も今では考えられないですよね。
学校の1クラスの生徒の制服がバラバラっていうのも、逆に撮影のリアルが伝わってきます。
映画としてみると、シーンのつなぎが断片的な部分があり、人物相関が少し掴みづらい部分もあるんですが、そんなことはどうでもいいくらい、ドキュメンタリーかと思うような再現力に驚かされます。
悲惨なシーンが多いですが、白黒というフィルターがかかることにより少し見やすく、死→生、破壊→再生の演出も入っていて、感動も。
ただ、1点残念なのは、セリフがすべて標準語(東京弁)ということ。
子供たちも、江戸っ子言葉で話すんです。
そこがね…広島弁だったら…と。
標準語によって、全国的に分りやすい映画にはなっているんでいいですが。
(余談ですが、学校で生徒達が手を挙げるシーンで、男の子は手のひらを閉じて「グー」で挙げてるのが韓国の学生みたいだなと思いました。当時は日本でも「グー」で挙げていたのかな?)
日教組プロによる製作で、反戦色が強いということで公開当時は大手の配給会社から拒否されて自主上映という形を取ってきた作品ですが、最近デジタル処理されてから、たくさんの配信サービスで配信されています。
原爆や広島をテーマに扱った昔の映画って、意外と配信されていないんです。
DVD化されてない作品もあるし、映像文化ライブラリーで見るしかない感じ。そういう意味でも貴重ですね。
この作品と同じ原作の新藤兼人監督「原爆の子」('52)もいつか見てみたいです(映像文化ライブラリー元館長の佐伯一幸さんや、私の叔父が小学生の時に出演しています)。
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