「JFK」(1991年 アメリカ)
広島の平和祈念資料館にも訪れた監督の、
アメリカ政府の闇をあばく
圧倒的スピーチの超大作再現ドラマ
「プラトーン」のオリバー・ストーン監督が、ケネディ大統領暗殺事件の謎に迫った社会派ドラマ。
地方検事ジム・ギャリソンの著書「JFK ケネディ暗殺犯を追え」と、同事件を研究するジム・マースの著書を基に、暗殺事件を巡る唯一の訴訟であるクレイ・ショー裁判に至るまでの顛末を、虚実入り混ぜながら描き出す。
歴史的大事件を、主人公が検証し、仮説を立てて、立証していく過程を、当時のフィルムや再現ドラマを挟みながら構成。
この映画、3時間28分もあるんですが、見始めてから、主人公の役柄説明があるのがやっと25分後。
それまでは事実解説みたいな前提がずーっとあって、25分後にやっとお話が流れ出すという。
登場人物が多いのと、複雑な事件なので説明に時間がかかるのはしょうがないんですが、解説のためのセリフも多いし、前半はひたすら字幕を読んでいる状況が続き、結構ハードです…。
その分、主人公の愛する妻や子供たちとの自宅での様子が平行して描かれていて、それらが主人公の葛藤やストーリーのアクセントになっていて、箸休め的になっている気がします。
個人的に見応えがあるのは、中盤から。
Xと名乗る人物からの15分にわたる証言。
そしてクライマックスの、主人公による、34分にもわたる裁判での演説。
アメリカ合衆国連邦政府やアメリカ政治を強く批判し、ヒロシマの平和記念資料館にも来ているオリバー・ストーン監督。
そんな監督の言いたいことを、そのまま俳優ケビン・コスナーに憑依(ひょうい)させているかのような演技は、すごい説得力を持ってるんですよね。
監督は、きっと、この演説をさせるために映画を撮ったんだろうなぁ。
アメリカ政府の闇の部分を知るには、入門編としていい教科書のような気もします。
ただ、事実よりも盛られていたり、一方的な意見が強調されていたりすることもあるので、そこはフラットに見ないといけないですが。
ケネディ大統領暗殺事件に関する機密資料が全面公開されるのが、2039年。
この映画で描かれていることが、どのくらい真実なのか、確かめてみたいです。