「市民ケーン」(1941年 アメリカ)
舞台化してほしいなぁ
新聞王ケーンが、“バラのつぼみ”という謎の言葉を残して死んだ。新聞記者のトンプソンは、その言葉の意味を求めて、生前のケーンを知る人物にあたるが……。様々な人物の証言から、新聞界に君臨した男の実像が浮かび上がる、斬新な構成と演出で評判を呼んだ、ウェルズ弱冠25歳の処女作。(allcinema ONLINE)
当時25歳の若き天才オーソン・ウェルズが製作・監督・脚本・主演を務め、映画史に残る傑作として語り継がれる人間ドラマ。
実在の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルに、ある大富豪の波乱に満ちた一生を、革新的な映像技法とストーリー構成で描き出されます。
個人的に注目したのは、セリフの数々。
「もし、大金持ちじゃなかったら、私は最高の男になっていた」
「愛を失うのは、愛を与えなかったから」
「私に指図できる人間はいない。私だけだ」
「君は自分が愛されるために、相手を思いやっているふりをしているんじゃないのか? そんな身勝手なのは、愛ではない」
主人公の遺言「バラのつぼみ」とは何だったのかを、関係者にインタビューしながら、主人公の人生をたどっていくんですが、出てくるセリフの数々が、人生哲学として学ぶべき言葉にあふれていて、すごく勉強になるんですよね。
知事に立候補したり、新聞という権威あるメディアをコントロールして都合のよい記事を掲載したり、という市民ケーンの姿は、そのままトランプ大統領を思い起こせるんですが、調べてみたら、トランプ大統領はこの映画が大好きとのこと。
納得です。
また、主人公のケーンを見ていると、トラウマは存在しないという「アドラー心理学」とか、ビジネスで成功したお金持ちの方々(日本だとZOZOの前澤さんとか、与沢翼さんとか)の原動力や孤独感みたいなことも重ね合わせて考えてしまって。
1本の映画からの思考の広がりが、すごいことになります。
それと、この作品を舞台で見たい!
ダンスシーン、オペラシーン、JAZZの演奏シーンなど、華やかなシーンがたくさん盛り込まれていて、カメラの長回しも多く、まるで舞台を見ているような映画でもあるんですよね。
地元の演劇、ダンス、オペラ、JAZZ界の方々で実現できれば楽しいだろうなぁ(希望)。
今年のアカデミー賞で、「市民ケーン」の脚本家、ハーマン・J・マンキウィッツを主人公にしたNetflix制作の人間ドラマ「Mank」が撮影賞、美術賞を受賞。
「市民ケーン」も再鑑賞されている感じもありますね。
ぜひそちらも見てみたいです。