「ゴッド・ファーザー」(1972年 アメリカ)
対比によるドラマティックな演出
マフィアの世界を克明に描きベストセラーとなったマリオ・プーゾの同名小説をフランシス・コッポラが映画化した一大叙事詩。
シシリーからアメリカに移住し、一代で財を成したドン・コルレオーネ。
三男のマイケルはひとり堅気な人生を送ろうとしていたが、敵対するファミリーにドンが襲われ重傷を負った時、彼は報復を決意する。
そしてニューヨークは抗争の場と化していった……。
第二次世界対戦後のアメリカに生きるイタリア人移民とその子孫であるイタリア系アメリカ人一族の、栄光と悲劇を描いた作品。
3時間あり、なかなか見れなかったんですが、見てみると長さを全く感じさせない見応えのある映画です。
登場人物が多いのと、マフィアの世界の話なので、本当の兄弟なのか義兄弟なのかとちょっと混乱する部分はありつつも、キャラクター設定がはっきりしていて分かりやすいのでドラマの世界に入り込めます。
混沌とした時代に移民としての運命を背負った者の悲しみ、生きていくための命懸けの決断、その分家族には惜しみない愛情を注ぐ姿がキラキラしていてなかなか美しい映画でもあります。
脚本を手がけたコッポラとプーゾの描き方として、人生の節目となるような「喜び」や感情的な「怒り」などの「動」となる出来事と、「死」や「別れ」のような「悲劇」「哀しみ」などの「静」となる出来事を対比させるような流れとなっていて、人生の悲喜こもごもをドラマティックに仕上げであるというのがすごく勉強になります。
また、時間経過をセリフの中で自然に表現してあるのもいい。
ボス役のマーロン・ブランドは、声が高めで、ボスとして威厳のある声ではないんですが、そこが逆に人間味があって人々から慕われる役の雰囲気に合っている気もします。
女性の描き方も、ミステリアスな女性、思いのまま叫ぶ女性、心に想いを秘めた女性、といろいろ出てきて人間観察してある感じです。
照明の当て方やカメラのズームなどいろいろ感じたことがありますが、書き出したら終わらないのでこの辺で。